現代社会において、リスキリングやスキルアップの重要性が叫ばれていますが、本当に「使えるスキル」とは一体何でしょうか?資格や知識だけでなく、もっと本質的な何かがあるはずです。今回は、ベストセラー作家・養老孟司先生の著書『人生の壁』を参考に、真に役立つスキルについて考えてみましょう。
養老先生が見据える「使えるスキル」の本質
小泉進次郎氏の「解雇規制の見直し」発言をきっかけに、リスキリングの必要性が議論されました。しかし、中高年が学び直したところで、本当に需要があるのか?という疑問も湧き上がります。結局のところ、どんなスキルが「使える」と言えるのでしょうか?
養老先生は、医師免許を持ちながらも、それは必ずしも「使えるスキル」ではないと語ります。では、真に役立つスキルとは?それは、セミナーや資格取得ではなく、日常生活の中で培われるものだと先生は説きます。
alt 養老孟司先生
煩わしいことこそ、成長の糧
養老先生は、人から頼まれたことはなるべく引き受けるようにしていると述べています。頼み事や相談事は煩わしいものですが、それは周囲が自分に期待している証であり、また、煩わしさを感じる原因は、実は体力の問題であることが多いと指摘します。
若いうちは体力があるので、煩わしいことにも積極的に取り組むべきです。恋愛、結婚、子育てなど、人生における多くの出来事は煩わしいものです。しかし、若いうちだからこそ、それらに真正面から向き合い、乗り越えることができるのです。
alt 若者に仕事が集中する職場
「修行」の精神で、真のスキルを磨く
会社では若手に仕事が集中し、中高年は暇そうにしている、という光景をよく見かけます。若手からすれば不満に思うのも当然でしょう。しかし、養老先生は、体力のあるうちは煩わしいことにかかわっていたほうが幸せだと主張します。
これは、現代社会から失われつつある「修行」の精神に通じるものです。人に頼まれ、仕方なくやることでも、一生懸命に取り組むことで、結果的に自分の成長につながります。
筋トレと同じように、トレーニング自体は辛いものですが、継続することで確実に筋肉がつきます。同様に、煩わしい経験を積み重ねることで、真に「使えるスキル」が身についていくのです。
日常生活こそ、最高の学びの場
著名な料理研究家、山田花子さん(仮名)も、「料理の上達は、毎日キッチンに立つことから始まる」と語っています。特別な技術や知識よりも、日々の積み重ねが重要なのです。
人生における様々な経験は、全て学びの機会となります。面倒なことから逃げずに、積極的に取り組むことで、人間としての深みが増し、真に「使えるスキル」が磨かれていくのではないでしょうか。
まとめ:真のスキルは経験から生まれる
資格や知識だけでなく、日常生活での経験こそが、真に「使えるスキル」を育む土壌となります。面倒なこと、煩わしいことから逃げずに、積極的に取り組むことで、自分自身の成長へと繋がるのです。ぜひ、日々の生活の中で、小さな「修行」を積み重ねてみてください。