日本のエンターテインメント業界を揺るがしたジャニーズ事務所の性加害問題。NHKスペシャル「ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」の放送後、様々な議論が巻き起こっています。この問題の核心にあるのは、なぜ長年放置されてきたのか、そしてメディアの責任はどこにあるのか、ということです。今回は、元テレビ東京社員であり、桜美林大学教授の田淵俊彦氏の体験談を元に、テレビ局の沈黙の構造に迫ります。
テレビ局からの圧力：沈黙を強いる「横槍電話」
田淵氏は、NHKスペシャルに出演後、前職であるテレビ東京の広報担当幹部から驚くべき電話を受けたといいます。それは、番組内での発言を問題視し、「元テレ東」という肩書の使用や、在職中の経験談を語ることを控えるよう求める内容でした。田淵氏はこの行為を「ファシズム的」と表現し、基本的人権の侵害だと強く批判しています。
alt テレビ東京の旧社屋
テレビ東京は、人権デューデリジェンスの遵守を掲げているにも関わらず、今回の件は自らの主張と矛盾する行為と言えます。この「横槍電話」は、テレビ局内部に蔓延する隠蔽体質や、ジャニーズ事務所への忖度を象徴する出来事と言えるのではないでしょうか。
メディアの責任：沈黙の代償
ジャニーズ事務所との良好な関係を維持するために、テレビ局は長年にわたり性加害問題に沈黙を守ってきました。人気タレントの起用を優先し、問題を隠蔽することで、視聴率や利益を確保してきたのです。
田淵氏は、メディア側が変わらない限り、同様の問題が繰り返されると警鐘を鳴らしています。メディア人一人ひとりの意識改革、そして組織としての責任ある行動が求められています。
忖度が生む歪み：テレビ局の構造的問題
テレビ局内部では、ジャニーズ事務所との関係悪化を恐れるあまり、問題提起を避けようとする空気が蔓延している可能性があります。このような忖度が、性加害問題の隠蔽に加担し、被害者の声を抑え込む結果につながっているのではないでしょうか。
alt ジャニー喜多川氏の死去を伝える街頭テレビ
今、私たちにできること
この問題は、単なる芸能界のスキャンダルではなく、社会全体の構造的問題を浮き彫りにしています。権力への忖度、隠蔽体質、そして被害者の声を軽視する風潮は、あらゆる組織に潜む可能性があります。
私たちは、この問題から何を学び、どう行動すべきでしょうか。真実を追求する勇気、声を上げる勇気、そして社会を変える勇気を持ち続けることが重要です。声を上げること、声を聞くこと、そして共に声を上げていくことが、より良い未来を築く一歩となるはずです。
