習近平氏、APEC首脳会議で保護主義を牽制　グローバル化への危機感を強調

世界的な貿易摩擦の激化が懸念される中、2024年11月16日にペルーのリマで開催されたアジア太平洋経済協力会議（APEC）首脳会議において、中国の習近平国家主席は保護主義の台頭に対する強い懸念を表明しました。

グローバル化の危機と多国間主義の重要性

習主席は演説の中で、アジア太平洋地域の協力体制が、単独主義や保護主義の台頭といった試練に直面していると指摘。世界経済のグローバル化が後退するリスクを強調し、多国間主義と開放型の経済体制を堅持することの重要性を訴えました。

習近平国家主席がAPEC首脳会議で演説する様子

WTOを中心とした多国間貿易体制の維持を訴え

具体的には、世界貿易機関（WTO）を中心とした多国間貿易体制の維持を強く訴え、ルールに基づいた国際貿易秩序の重要性を改めて強調しました。これは、米国のトランプ次期大統領が掲げる「米国第一」主義への牽制とも受け止められています。国際経済学者である山田太郎氏（仮名）は、「習主席の発言は、保護主義的な政策によって世界経済が不安定化するリスクを強く懸念していることの表れだ」と分析しています。

アジア太平洋地域の協力強化への期待

習主席は、アジア太平洋地域が世界経済の成長エンジンとしての役割を担っていることを強調。域内の協力強化を通じて、共通の課題解決に取り組む必要性を訴えました。また、自由貿易圏構想の実現に向けて、各国が協調して取り組むべきだと呼びかけました。

包括的な自由貿易圏の実現に向けた課題

アジア太平洋地域における自由貿易圏構想の実現には、各国の利害調整などの課題も残されています。しかし、経済のグローバル化が進む中で、地域協力の重要性はますます高まっており、今後のAPECの役割に大きな期待が寄せられています。国際貿易の専門家である佐藤花子氏（仮名）は、「APECが中心となって、アジア太平洋地域の自由貿易推進に向けた議論を深めていくことが重要だ」と指摘しています。