紅白歌合戦。国民的歌番組として75回目を迎える今年も、橋本環奈さん、伊藤沙莉さん、有吉弘行さん、鈴木菜穂子さんという豪華な司会陣で大きな話題となっています。しかし、近年の視聴率は低迷気味。そんな中、NHKはどのように紅白を盛り上げようとしているのでしょうか?今回は、データ分析で紅白歌合戦のトレンドを読み解く「徒然研究室(仮称)」氏の見解を元に、90年代J-POPの復活と令和のエンタメ戦略を探ります。
90年代J-POPが紅白を席巻?
紅白歌合戦の舞台
徒然研究室氏によると、近年の紅白は、その年のヒットチャートだけで選曲されているわけではないようです。氏が行った過去2年間の紅白歌合戦のデータ分析によると、「80年代~90年代」の楽曲がキーポイントとのこと。特に90年代J-POPの影響力は顕著で、地上波視聴率だけでなく、YouTubeの公式配信でも高い視聴回数を記録しているといいます。
データが示す「90年代」人気
2023年紅白歌合戦のデータ
一例として、2023年の紅白歌合戦では、ポケットビスケッツとブラックビスケッツが特別企画枠で出演。90年代に一世を風靡した彼らは、近年のヒットチャートにはランクインしていませんが、地上波、YouTube共に高い注目を集めました。若者世代が多いYouTubeでの反響は特に驚きです。
「音楽業界アナリストの山田氏(仮名)も、『90年代J-POPの再評価は、現代社会の閉塞感とリンクしている可能性がある』と指摘しています。当時を懐かしむだけでなく、力強いメロディーやメッセージ性のある歌詞に共感する若者が増えているのかもしれません。」
なぜ90年代J-POPが再び脚光を浴びるのか?
徒然研究室氏はこの現象について、「90年代の音楽が持つ普遍的な魅力」を指摘しています。「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」から生まれたポケットビスケッツとブラックビスケッツの成功は、単なる懐メロブームでは説明できない現象です。2022年の紅白歌合戦で篠原涼子さんが歌った「愛しさとせつなさと心強さと」(1995年リリース)も高視聴率を獲得しており、90年代J-POP人気は確かなトレンドと言えそうです。
「当時を知る世代にとっては懐かしさを、若い世代にとっては新鮮さを提供できるのが90年代J-POPの強みです。また、近年のシティポップブームも影響していると考えられます。」(徒然研究室氏)
NHKは、視聴率低迷を打破するために、現代の視聴者のニーズを的確に捉え、90年代J-POPのような新たな戦略を打ち出していると言えるでしょう。今後の紅白歌合戦で、どのような形で「令和のエンタメ」が展開されるのか、注目が集まります。