築64年、かつて「天空の廃墟」と呼ばれた横須賀市の旧田浦月見台住宅。交通の便や生活利便性という課題を抱えながらも、2024年夏の入居者募集開始以降、申し込みが殺到しているという驚きの現状。その人気の秘密を探るべく、実際に現地を訪れ、その魅力を徹底解剖します。
駅からの道のりと静寂に包まれた団地
最寄り駅である横須賀線田浦駅からは、坂道を10分ほど登ります。横須賀は坂の街として知られていますが、月見台住宅へ続く道はまさにその象徴。急勾配の坂道、そして階段もある山道というルートもあるようです。
alt(過去のイベントの様子。多くの人々が熱心に住宅を見学しています。)
そんな高台に位置する月見台住宅は、約14,000㎡の広大な敷地に、長屋建て、平屋の住宅22棟、58戸が整然と並んでいます。1960年に建てられた団地らしく、棟と棟の間隔は広く、周囲には緑が溢れ、静寂に包まれています。場所によっては眼下に長浦湾の美しい景色も望めます。
老朽化からの再生プロジェクト
2020年に老朽化を理由に廃止が決定され、2022年には最後の入居者が退去。無人となった団地は、窓ガラスが割られるなどの被害も発生し、まさに「天空の廃墟」と化していました。しかし、地域住民からの不安の声を受け、横須賀市は団地の活用を決意。鎌倉のまちづくり会社「エンジョイワークス」が再生プロジェクトを担うことになりました。
alt(広々とした敷地と緑豊かな環境が魅力の月見台住宅。)
なりわい住宅:暮らしと仕事を融合
第一種低層住居専用地域である月見台住宅。エンジョイワークスは、この場所で「なりわい住宅」という新たな住まい方を提案しています。家の一部を店舗や工房として利用できる兼用住宅で、暮らしながら仕事をするという、現代のライフスタイルに合わせた魅力的なコンセプトです。
多様なライフスタイルを実現
都心の喧騒から離れ、自然豊かな環境で、自分のペースで暮らし、仕事をする。そんな理想のライフスタイルを実現できるのが、月見台住宅の魅力と言えるでしょう。地域活性化にも繋がるこのプロジェクトは、多くの注目を集めています。「住まいと仕事」を融合させた新しい暮らし方を求める人々にとって、まさに理想の場所となる可能性を秘めています。 例えば、パン教室を開いたり、陶芸工房を併設したり、小さなカフェを営んだり、様々な「なりわい」が想像できます。
まとめ:新たなコミュニティ形成への期待
「天空の廃墟」から再生へと歩み始めた横須賀・月見台住宅。自然豊かな環境、静寂な暮らし、そして「なりわい」の可能性。これらの魅力が、入居希望者を惹きつけている理由でしょう。今後のコミュニティ形成にも大いに期待が寄せられています。