フィリピンのルソン島付近で発生した熱帯低気圧が、今後、台風へと発達する見込みです。この熱帯低気圧は西へと進路を取り、日本への直接的な影響は予測されていません。しかし、日本にとって台風シーズンは8月から9月にかけてがピークであり、現在も警戒を続ける必要があります。過去の経験から学び、大雨や暴風といった台風による災害に備え、日頃からの準備を改めて見直しましょう。
フィリピンの熱帯低気圧、日本への直接的な影響は限定的
本日22日(金)午後3時現在、フィリピンのルソン島周辺には、発達中の熱帯低気圧が存在しています。気象庁の予報によると、この熱帯低気圧は今後、台風へと勢力を強める可能性が高いとされています。その後、台風は主に西寄りの進路をとり、ベトナム方面へ向かう見通しです。そのため、現時点では日本列島に直接的な影響を及ぼす可能性は低いと予想されています。
ルソン島周辺の熱帯低気圧の進路予測図
警戒を怠れない日本の台風シーズン:過去の事例と今後の見通し
今回の熱帯低気圧が台風に発達したとしても、日本への影響は小さいと見られますが、決して油断はできません。なぜなら、日本では依然として本格的な台風シーズンが続いているからです。平年の統計では、8月には平均5.7個、9月には平均5.0個の台風が発生しており、この時期は特に多くの台風が日本列島に接近する傾向にあります。
今年の8月も、本日22日午後3時現在までに3個の台風(10号~12号)が発生しました。特に先日発生した台風12号は九州南部に上陸し、その影響や周辺の湿った空気により、鹿児島県では8月一か月分に相当する雨がわずか一日余りで降るという記録的な大雨となりました。9月は、さらに日本列島に接近しやすいコースを取る台風が増える傾向にあるため、引き続き厳重な警戒が必要です。台風による大雨や暴風への備えとして、以下のような準備を普段から進めておくことが推奨されます。
- 避難経路の確認: 自宅から最寄りの避難場所までのルートを家族で確認し、ハザードマップも参考にしましょう。
- 防災グッズの準備: 非常持ち出し袋の中身を定期的に見直し、食料、飲料水、常備薬などを補充します。
- 家屋周辺の点検: 側溝や雨どいを清掃し、排水機能を確保します。また、飛ばされやすい物(植木鉢、物干し竿など)は固定するか、屋内に片づけておきましょう。
台風シーズン中の日本列島への接近頻度を示す気象図
台風接近前に確認・準備すべき3つの重要事項
いざという時に備え、台風の接近前に自分でできる重要な対策がいくつかあります。ライフライン(電気、水道、ガスなど)が断絶する可能性も考慮し、以下の3つのポイントを事前に確認し、準備しておきましょう。
1. 停電対策:懐中電灯と情報収集手段の確保
暴風によって電柱が倒れたり、電線が切断されたりすることで、夜間に停電が発生する可能性があります。
- 懐中電灯やランタンを準備し、電池の残量を確認し、点灯するかどうかを試しておきましょう。
- スマートフォンなどの充電も忘れずに行い、モバイルバッテリーも用意しておくと安心です。
2. 断水対策:飲料水と生活用水の確保
断水は、台風によるライフライン寸断の中で特に懸念される事態の一つです。
- 飲料水は、一人あたり1日3リットルを目安に、数日分を確保しておきましょう。
- トイレや洗濯、入浴などの生活用水として、浴槽に水を張るなどの準備をしておくことも重要です。
3. 避難準備:非常用持ち出し品と食料の備蓄
もし避難が必要になった場合、避難場所で数日間過ごすことを想定した準備が必要です。
- 非常用持ち出し袋には、食料、飲料水、常備薬、着替え、貴重品などを入れておきましょう。
- 自宅で数日間過ごせるように、レトルト食品や缶詰など、調理が不要な食料を多めに備蓄しておくことも大切です。
普段から、家族で緊急時の連絡手段や集合場所を話し合い、決めておくことも非常に重要です。
台風に備えるための非常用持ち出し品と防災グッズの例
まとめ
フィリピン沖の熱帯低気圧が台風へと発達する見込みですが、日本への直接的な影響は小さいと予測されています。しかし、日本は引き続き台風シーズンの真っただ中にあり、特に9月にかけては、台風が日本列島に接近しやすくなるため、警戒が必要です。過去の災害事例を教訓に、大雨や暴風に備えた事前の対策として、避難経路の確認、防災グッズの準備、そしてライフラインが寸断された際の備えを徹底しましょう。正確な気象情報を常に確認し、一人ひとりが主体的に行動することが、命と財産を守る上で不可欠です。
情報提供: 日本気象協会 本社 牧 良幸