自己肯定感を高める秘訣は「自分を褒める」こと? 日常を変える小さな習慣

「毎日を気分良く過ごしたい」「他人に振り回されるのをやめたい」「自己肯定感を高めたい」──そう願う方は少なくないでしょう。多くの人が抱えるこれらの悩みに応える一冊が、日韓累計40万部を突破したベストセラー『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)です。本記事では、この習慣の中から特に「自己肯定感を上げる」という側面に焦点を当て、日々の生活をより豊かにするための実践的なヒントをご紹介します。気分を整え、心の状態を上向きにするための鍵は、意外にも身近な「自分を褒める」というシンプルな行為にあるかもしれません。

親子が笑顔で食卓を囲む様子、自己肯定感を高める子育てのヒント親子が笑顔で食卓を囲む様子、自己肯定感を高める子育てのヒント

「褒める」力で子どもの行動が変わる:具体的な実践例

子どもへの接し方一つで、その子の行動や自己肯定感に大きな影響を与えることがあります。例えば、小学三年生の息子さんを持つライターの小川晶子氏は、朝食時の息子の食べ方について長年悩んでいました。お茶碗にご飯粒を残し、汁物をこぼし、顔や服にも食べ物をたくさんつけてしまう様子に、思わず「もっときれいに食べて」「残さずに食べてほしい」と小言を繰り返す毎日。しかし、何百回注意しても、一向に改善の兆しは見えませんでした。

そこで小川氏は、作戦を変更します。自分自身がご飯をきれいに食べた様子を見せながら、「お母さんってえらいなー! ほら、こんなにきれいに食べられるんだもん」「ピカピカで気持ちいいな! 作った人も喜ぶだろうな。あ、私か!」と、明るく自分を褒めてみせたのです。すると、その姿を見た息子さんは、「ぼくだってできるよ」と言って、初めて自らご飯粒を集めて食べ始めました。結果、生まれて初めてと言えるほどきれいに完食できたのです。この経験は、親子で笑顔の一日をスタートさせるきっかけとなり、小川氏の心には「ありがたい」という感謝の気持ちが芽生えたと言います。

「当たり前」の中に隠された感謝:自己肯定感の根源

「きれいに残さずにご飯を食べる」という行為は、一見すると「当たり前」に思えるかもしれません。しかし、深く考えてみれば、それは決して当たり前ではありません。健康な体と手が使えること、そしてゆっくりと食事をする時間があること。これらの条件が揃って初めて可能になる、恵まれた状況であると認識することが重要です。

このように、日々の「当たり前」に感謝の気持ちを抱くことは、自己肯定感を育む上で非常に大きな意味を持ちます。感謝して、食事を楽しみ、そして自分自身を褒める姿は、周囲の子どもたちにも良い影響を与え、自然と真似するようになります。あれこれと小言を言うよりも、このようなポジティブなアプローチの方が、親自身の気分も良く、子どもたちの成長にも効果的であることが示されています。

自分を褒める習慣が人生にもたらす変化

『人生は「気分」が10割』の中でも、気分を整える習慣の一つとして「いつもの『当たり前』から自分をほめてあげる」ことが紹介されています。自分に感謝し、自分を褒めることは、決して自画自賛やうぬぼれではありません。むしろ、日常の小さなことからでも自分を慈しみ、ねぎらう大切な行為です。

例えば、ついついご飯を食べすぎてしまったとき。多くの人は「カロリーオーバーしてしまった」と自分を責めがちですが、「おいしくご飯を食べられた自分」を褒める人は稀です。しかし、もしこれが子どもの話であれば、「ご飯をたくさん食べてえらいね〜」と褒めてあげるのではないでしょうか。
「ご飯をきれいに食べる」「おいしく食べる」といった「普通の」ことは褒めるに値しないと考えてしまいがちですが、むしろそこにこそ価値があります。当たり前だと思っていることこそ、あえて感謝したり褒めたりすることで幸福感が増すのです。小さいことにも感謝し、自分を褒めてあげましょう。そのことが人生の満足度を高め、さらに大きな幸せを呼び込んでくれるでしょう。

まとめ:今日から始める「自分を褒める」習慣

私たちはとかく、できていないことや不足している点に目を向けがちです。しかし、日常に潜む「当たり前」の中には、実はたくさんの「褒めるべき」要素が隠されています。朝、ちゃんと起きられた自分。仕事に取り組んだ自分。本を読んだ自分。おいしく食事をできた自分。これら一つ一つの行為を認め、褒めることで、自己肯定感は自然と高まり、日々の気分が驚くほど向上します。

『人生は「気分」が10割』が提唱するように、自分を褒める習慣は、あなたの人生をより肯定的に、そして幸福に導くための強力なツールです。今日から早速、あなた自身の「当たり前」を褒めてみませんか? その小さな一歩が、最高の一日へとつながる大きな変化の始まりとなるでしょう。


著者紹介:

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。