日本の成長率、実は「G7首位」?働き手中心の指標で見えてくる別の姿 「人口減少の中、驚くほどうまく対処している」と米大学教授


 ▽実質成長率だと下から2番目

 調査したのは、米ペンシルベニア大のヘスース・フェルナンデス・ビジャベルデ教授ら3人だ。調査の基となる主な数値は、世界銀行のデータベースから引用してG7で比較。今年8月に最新版を公開した。
 GDPは、国内で一定期間に生み出されたモノやサービスの付加価値の合計を示し、景気動向や経済規模を示す目安とされる。調査によると、2008年から2019年までの日本の成長率は、物価変動の影響を除いた実質で年平均0・58%。G7では最下位イタリアに次いで下から2番目で、首位の米国の1・81%や、カナダの1・79%と比べると大きく見劣りした。

 ▽人口当たりの比較は「誤解を招く」

 今回の調査で着目したのは、15~64歳とされる生産年齢人口1人当たりのGDPだ。生産活動や消費の中心的な担い手になるとみなされているが、急速に高齢化が進む日本では大きく減少している。その分、日本の成長率を生産年齢人口当たりで見ると1・49%にまで改善し、G7では首位に躍り出る。ドイツの1・35%や、米国の1・34%を上回った。

 日本の労働生産性はかねて低いと指摘されている。日本経済について研究するシンクタンクの日本生産性本部によると、2022年は経済協力開発機構(OECD)に加盟する38カ国中30位だった。だが、今回の調査では、成長率で比較すると、現役世代が付加価値の向上で健闘している可能性を示している。

 論文は、先進国で高齢化が進んでいることに触れ「経済成長率を人口1人当たりの指標で比べるのは誤解を招きやすくなっている」と指摘し「より良い指標を探そう」と提唱した。



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