現代社会において、モンスターペアレントへの対応に苦慮する学校現場が増えています。厳しい指導を全て虐待と捉える保護者に対応するあまり、適切な教育が難しくなっているという現状があります。しかし、過剰な配慮は子どもの自己コントロール力の発達を阻害し、成人後の不健康、低収入、犯罪リスクの増加につながる可能性も指摘されています。では、子どもの忍耐力や協調性を育むためには、どのような教育環境が望ましいのでしょうか？本記事では、その秘訣を探ります。
忍耐力不足の現代っ子たち
近年、子どもたちの忍耐力不足が深刻化しているという声が聞かれます。2016年に山形県で行われた調査では、放課後児童クラブ・子ども教室関係者の86%が「忍耐力のない子が増えている」と回答しています。
alt 放課後児童クラブで遊ぶ子供たち
家庭ではゲームに夢中で親の言うことを聞かなかったり、宿題をやらなかったり。学校でも宿題を忘れたり、掃除当番をサボったり、遅刻をしても叱られない。このような状況では、自己コントロール能力が育ちにくいのも当然と言えるでしょう。
厳しい指導＝虐待ではない
虐待が社会問題化している昨今、「子どもの心を傷つけてはいけない」という考え方が広まり、子どもに厳しいことを言う風潮が減っています。しかし、子どもの将来を案じ、社会で強く生きていけるようにと願う親心から厳しい指導をすることと、親の身勝手な理由で子どもを虐待することは全く異なります。
教育心理学者の山田先生（仮名）は、「適切な指導と虐待は明確に区別すべきです。子どもが社会性を身につけるためには、時には厳しく叱ることも必要です。大切なのは、子どもの成長を真摯に願う気持ちに基づいた指導であるかどうかです。」と述べています。
保護者からのクレームを恐れるあまり、教師が萎縮してしまうケースも少なくありません。例えば、授業中に騒ぐ生徒を注意したところ、他の生徒がショックを受けて不登校になってしまったという事例もあります。
alt 授業風景
家庭と学校が連携した教育の重要性
子どもの忍耐力や協調性を育むには、家庭と学校が連携した教育が不可欠です。保護者は、子どもに適切な課題を与え、努力を認め、達成感を味わわせる機会を設けることが重要です。また、学校では、集団生活を通してルールやマナーを教え、協調性を養う必要があります。
さらに、地域社会との関わりも重要です。地域活動への参加を通して、子どもたちは多様な価値観に触れ、社会の一員としての責任感を学ぶことができます。
子どもたちの未来のために
子どもたちの健やかな成長を願うのであれば、過剰な配慮ではなく、適切な指導が必要です。忍耐力や協調性を育み、困難を乗り越える力を身につけることで、子どもたちは明るい未来を切り開くことができるでしょう。
