藤井聡太棋聖、盤上に「集中」誓う 木更津で挑む棋聖戦第3局、6連覇・通算30期へ

ヒューリック杯第96期棋聖戦五番勝負の第3局が30日、千葉県木更津市の龍宮城スパホテル三日月で行われる。藤井聡太棋聖(22)=7冠=は、挑戦者の杉本和陽六段(33)に対しシリーズ2連勝中。本局に勝利すれば、自身6度目の棋聖位獲得を決めるとともに、タイトル獲得数を節目の「30期」に乗せる。対局を翌日に控えた29日、両対局者は現地入りし、会場となる対局室の検分に臨んだ。

猛暑対策と対局環境

対局場の木更津市は記録的な猛暑に見舞われており、29日も最高気温31度を観測した。藤井棋聖は対局室の温度設定について、記録員との間で23度に調整することを決定。対局中の室温変更の可能性についても確認した。対局室は東側に窓があり、東京湾が一望できる素晴らしい眺めだが、午前9時の対局開始時に朝日が差し込む可能性も考慮し、必要に応じてブラインドを調整することも話し合われた。

木更津市の龍宮城スパホテル三日月で行われる棋聖戦第3局の対局場検分後、記念撮影に応じる藤井聡太棋聖(右)と杉本和陽六段。木更津市の龍宮城スパホテル三日月で行われる棋聖戦第3局の対局場検分後、記念撮影に応じる藤井聡太棋聖(右)と杉本和陽六段。

木更津での棋聖戦対局は、龍宮城スパホテル三日月で昨年に続き2年連続4度目となる。藤井棋聖は過去3戦全勝と相性が良い場所だが、今年の第3局は木更津での棋聖戦としては初の真夏日対局が想定される。昨年、山崎隆之八段と対局した第1局の対局室温度は25度だったことから、今年の厳しい暑さへの対応が注目される。

シリーズの展開と両者の戦型

今回の五番勝負は、藤井棋聖がすでに2連勝を収め、防衛に王手をかけている。挑戦者の杉本六段は、飛車を初期配置から逆サイドに振る「振り飛車」を得意とする。これに対し、藤井棋聖は飛車を初期配置のまま据え置く「居飛車」を得意としており、これまでの2局はいずれも「対抗形」の戦いとなった。藤井棋聖はこれまでの対局を振り返り、「急所をつかむのが難しかった」と語っている。

偉業達成への意識と集中力

藤井棋聖は昨年、この棋聖戦で五連覇を達成し、自身初の永世称号となる「永世棋聖」の資格を獲得した。今回の第3局に勝利すれば、6連覇の偉業を果たすとともに、歴代5位となる通算タイトル獲得数30期の大台に到達する。周囲からの期待を感じつつも、藤井棋聖は「(記録は)意識せずに盤上に集中したい」と強調。「第3局は時間配分に気を付け、濃い内容で指せるように集中したい」と繰り返し述べた。猛暑の中でも冷静さを保ち、7冠保持者としての戦術眼で勝利を目指す構えだ。

対局室の眺めについて、藤井棋聖は「毎回集中できている」と好印象を口にした。東京からの移動では、東京湾アクアラインを通過する際に広がる大海原を眺め、癒やされていたという。盤上での集中力と環境への適応力が、厳しい条件下での対局を制する鍵となりそうだ。

まとめ

藤井聡太棋聖が木更津で挑む棋聖戦第3局は、6連覇と通算タイトル30期達成がかかる重要な一局となる。猛暑という厳しい環境下での対局となるが、藤井棋聖は「集中」をキーワードに、盤上での最善を尽くすことを誓っている。挑戦者・杉本六段との対抗形での戦いの行方、そして藤井棋聖が新たな金字塔を打ち立てるかどうかに注目が集まる。