ウクライナ紛争の行方が、米国からの資金援助の継続にかかっている。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、FOXニュースのインタビューで、米国の資金援助が停止されればウクライナは戦争に敗北するとの懸念を表明した。この発言は、ウクライナへの支援継続に対する米国内の意見の相違を背景に、今後の戦況に暗い影を落としている。
ゼレンスキー大統領、資金援助停止の深刻な影響を警告
ゼレンスキー大統領は、資金援助の停止はウクライナの戦闘継続能力、ひいては国家の存続そのものに深刻な影響を及ぼすと警告した。 彼は「資金援助がカットされれば、私たちは負けると思う」と述べ、戦闘や生産は継続するものの、勝利はおろか、生き残ることさえ困難になるとの見解を示した。
ゼレンスキー大統領
共和党内のウクライナ支援への反対意見
米国では、次期政権与党である共和党員の一部から、ウクライナへの資金援助に反対する声が上がっている。J・D・ヴァンス次期副大統領は、ウクライナへの武器供与に反対の立場を表明しており、米国の製造能力の不足を理由に挙げている。 2月のミュンヘン安全保障会議では、米国は東アジアへの政策転換をすべきであり、欧州はその現実に目を向けるべきだと主張した。
ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、共和党員の62%が、ロシアと戦うウクライナを支援する責任は米国にはないと考えている。この結果は、ウクライナ支援に対する米国民の意識の二極化を示唆している。
戦況の悪化とゼレンスキー大統領の焦燥
ウクライナは、米国から供与された長距離ミサイルを初めてロシア領内に向けて発射した。バイデン大統領は対人地雷の供与にも同意したが、ゼレンスキー大統領はウクライナが戦場で「非常に困難な時期」を迎えていると述べている。
戦争研究所(ISW)の分析によると、ロシア軍は前線での支配地域を拡大しており、今年掌握した土地の面積は昨年の約6倍に達している。ISWは、信頼性の高いソーシャルメディアの映像や部隊の動向報告に基づいて分析を行っており、ロシア軍は今年に入り約2700平方キロメートルのウクライナ領土を占領したと報告している。これは昨年の465平方キロメートルと比較して大幅な増加である。
ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への奇襲攻撃は、ロシア軍の反撃によって失敗に終わり、ウクライナ側の苦戦を浮き彫りにしている。
プーチン大統領との対話に批判的なゼレンスキー大統領
ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領と電話会談を行ったドイツのオラフ・ショルツ首相を批判した。プーチン大統領を孤立させることで圧力をかけるべきだと主張し、プーチン大統領との対話は「パンドラの箱」を開けるようなものだと警告した。
今後のウクライナ紛争の行方は、米国の資金援助の動向に大きく左右されるだろう。ゼレンスキー大統領の懸念表明は、国際社会の支援継続の重要性を改めて示すものとなっている。