ウクライナ侵攻開始から1000日を超え、戦況は新たな局面を迎えています。ウクライナ軍は、英国から供与された長距離ミサイル「ストームシャドー」を用いて、ロシア領内の軍事目標への攻撃を初めて実施しました。欧米からの長距離兵器供与を受け、ウクライナの反撃作戦は今後さらに激化するものと予想されます。
ストームシャドー使用の背景:北朝鮮兵投入への懸念
今回のストームシャドー使用は、ロシアが北朝鮮兵をウクライナ戦線に投入したことを受けて、英国が承認したものとされています。関係当局者によると、この件は非常に慎重な対応が求められる問題であり、ロシアの行動は戦争のエスカレーションにつながるものと英国政府は強く懸念しているとのことです。 英国は以前からウクライナへの軍事支援を表明していましたが、ストームシャドーのような長距離兵器の供与については慎重な姿勢を保っていました。しかし、ロシアの北朝鮮兵投入という新たな事態を受け、ついにその使用が認められるに至ったのです。
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米英の足並み:長距離兵器供与をめぐる思惑
バイデン米大統領は以前、ウクライナへの米国製地対地ミサイル「ATACMS」の供与を承認していました。 リオデジャネイロで開催されたG20サミットでも、ウクライナへの長距離兵器供与は主要議題の一つとなりました。しかし、英国のスナク首相(原文ではスターマー英首相と誤記)は米国の動きへの公式な支持を表明しておらず、ストームシャドー使用の承認については不透明な状況が続いていました。
ゼレンスキー大統領の要求とトランプ氏の影
ゼレンスキー大統領は長らく、西側諸国に対し、ロシア領内の標的を攻撃できる長距離ミサイルの供与を要請してきました。今回のストームシャドー使用は、ウクライナにとって大きな前進と言えるでしょう。しかし、来年1月の米大統領選でトランプ氏が復帰した場合、ウクライナ支援の継続性については懸念が残ります。トランプ氏はウクライナでの早期停戦を公約に掲げており、ウクライナと西側諸国にとって新たな不安材料となっています。ロシアはトランプ氏との停戦交渉に前向きな姿勢を見せていますが、西側諸国はこの動きに懐疑的です。
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ウクライナ支援の行方
英国のヒーリー国防相は、ウクライナ情勢をめぐる議論の変化を指摘しつつ、ウクライナ支援継続の意思を改めて表明しました。AP通信によると、米国はウクライナに追加で少なくとも2億7500万ドル相当の兵器を供与する見通しです。 今後のウクライナ情勢は、米大統領選の結果、そして西側諸国の支援継続の意思によって大きく左右されることになりそうです。
長期化する戦争、出口はどこに
ストームシャドーの使用は、ウクライナ戦争の新たな局面の始まりと言えるでしょう。しかし、戦争の終結への道筋はまだ見えず、ウクライナ国民の苦難は続いています。国際社会は、この紛争の平和的解決に向けて、より一層の努力を傾ける必要があります。