オルゴールの美しい音色とは裏腹に、50年以上の歴史を持つ老舗企業「オルゴール堂」で、育児中の男性社員が会社を相手取り、パワハラで訴訟を起こしたという衝撃的なニュースが飛び込んできました。深夜勤務の制限を申し出たところ、子会社への転籍・降格処分を受けたことが発端とのこと。本記事では、この事件の詳細と背景について詳しく解説していきます。
深夜勤務制限の申し出が引き金に?男性社員の訴え
30代の男性社員は、お子さんの誕生に伴い、会社の「育児・介護事業に関する規則」に基づき、深夜勤務の制限を申し出ました。ところが、そのわずか2日後、突然役員から電話で一般職への降格処分を言い渡され、翌月にはオルゴール堂の店舗に転籍・降格させられたといいます。
オルゴール堂で提訴した男性社員
男性社員は、事前の相談がなかったことを理由に始末書を提出させられた上、会社社長からは「育児したいなら退職すればいい」「今回の件は政治家が不用意な発言をして政治生命が絶たれるのと同じ」といった心無い言葉を浴びせられたと主張しています。
この出来事がきっかけで精神障害を発症し、休職を余儀なくされた男性社員は、会社側の対応は違法であり、「パタニティ・ハラスメント」(パタハラ)に該当すると訴え、約680万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こしました。
パタハラとは?企業の責任と対策
パタハラとは、父親であることを理由とした嫌がらせや不当な扱いを指します。厚生労働省も問題視しており、企業には適切な対策が求められています。育児休業の取得促進や、育児と仕事の両立支援など、男性社員も安心して子育てに参加できる環境づくりが急務です。
労働問題に詳しい専門家、例えば「山田太郎弁護士(仮名)」は、「今回のケースは、育児中の社員に対する配慮が欠けており、明らかなパタハラに該当する可能性が高い。企業は、育児・介護に関する規則を形骸化させることなく、社員の権利を尊重する必要がある」と指摘しています。
読売テレビの報道
オルゴール堂の対応とホームページの記載との矛盾
オルゴール堂は、取材に対し「訴状が届いていないのでコメントを差し控える」と回答。しかし、同社のホームページには「誰もが働きやすい職場環境づくり」「育児休業の取得推奨」といった文言が掲載されています。
京都地裁
今回の訴訟は、企業の姿勢と現実のギャップを浮き彫りにしています。企業理念と実際の対応に乖離がある場合、社員の信頼を失い、企業イメージの低下にもつながりかねません。オルゴール堂は、この問題に真摯に向き合い、適切な対応をとる必要があるでしょう。
まとめ
育児中の男性社員が深夜勤務制限を申し出たところ、降格処分を受けたとして、オルゴール堂を相手にパタハラで提訴した事件。企業は、社員のワークライフバランスを尊重し、誰もが働きやすい環境を整備することが求められています。この事件の行方を見守りつつ、改めてパタハラ問題について考えていきたいものです。