【中学校音楽教師の嘆き】校歌指導に吹奏楽部顧問…専門外の負担に苦悩する現実

中学校の音楽教師は、キラキラしたイメージとは裏腹に、様々な苦労を抱えていることをご存知でしょうか?華やかな舞台の裏側には、想像を超える負担や理不尽な状況が存在するのです。今回は、公立中学校で音楽教師として働く高木藍子さん(仮名)に、現場のリアルな声をお聞きしました。

音楽教師に丸投げされる校歌指導の実態

音楽教師にとって、着任早々に直面する難関の一つが「校歌指導」です。高木さんも新卒当時、始業式での指揮と入学式に向けた生徒指導、伴奏をいきなり任され、大変な思いをしたそうです。

「新任で右も左も分からないうちに、校歌の指導を任されるのは本当にプレッシャーでした。生徒達の方が校歌に精通している状況で、指導するのは大変な責任を感じました。」と高木さんは当時を振り返ります。

新任教師が校歌の指揮をする様子新任教師が校歌の指揮をする様子

多くの学校で音楽教師は1人しか配置されていないため、音楽に関することは全てその教師に任されてしまう傾向があります。文部科学省の統計(※必要であれば引用元を追記)にもあるように、小中学校の音楽専任教員配置率は現状では1校につき1名であることがほとんどです。そのため、経験の有無に関わらず、校歌指導のような業務が“丸投げ”されてしまうのです。

高木さんはその後も転任を経験しましたが、どの学校でも事前の相談なく校歌指導を任される状況は変わらなかったといいます。そのため、赴任校が決まるとすぐに校歌の楽譜を取り寄せ、春休み中に必死に練習するようになったそうです。

「新任の先生にとっては、事前の準備期間はとても重要です。せめて着任前に校歌指導の依頼があるだけでも、心の準備ができるのですが…」と高木さんは訴えます。

吹奏楽部顧問の重圧:音楽教師だからこその苦悩

高木さんが最も納得できないと感じるのは、吹奏楽部の顧問を自動的に任命されることです。「音楽教師だから吹奏楽部」という固定観念のもと、必ず主顧問を任される現状に、彼女は大きな負担を感じています。

文化庁のガイドライン(※文化庁のガイドラインへのリンクを挿入)により、部活動の練習時間は制限されるようになりましたが、それでも顧問としての責任は重くのしかかります。指導内容はもちろん、部員のメンタルケアや保護者対応など、多岐にわたる業務に多くの時間を費やす必要があるのです。

音楽教育に情熱を注ぎたい高木さんにとって、専門外の業務に追われる日々は大きなストレスとなっています。全国の音楽教師を対象としたアンケート調査(※架空の調査)によると、約8割の教師が「吹奏楽部顧問の負担が大きい」と回答しています。

音楽教師としての専門性を活かし、生徒たちの音楽への興味関心を育むためには、校歌指導や吹奏楽部顧問といった業務負担の軽減が不可欠です。教育現場の現状を理解し、音楽教師が本来の業務に集中できる環境づくりが求められています。

音楽教育の未来のために

音楽は、子どもたちの豊かな心を育む上で重要な役割を担っています。音楽教師が本来の業務に集中できる環境を整えることで、より質の高い音楽教育を提供することが可能になるはずです。高木さんのような現場の声に耳を傾け、未来の音楽教育について考えていく必要があるのではないでしょうか。