ウクライナ紛争で新たな局面を迎えた可能性があります。ウクライナ空軍は11月21日早朝、ロシアが南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)1発を発射し、中部ドニプロを攻撃したと発表しました。今回の攻撃で少なくとも15人が負傷、建物の被害も出ています。ロシアがウクライナ紛争でICBMを発射したとすれば、これが初めてとなります。
ICBM発射の真偽は? 情報戦の様相も
ウクライナ側の発表に対し、ロシア側はICBM発射の事実を認めていません。クレムリンのペスコフ報道官はコメントを拒否、国防省も声明で触れていない状況です。一部西側消息筋は、発射されたのは弾道ミサイルではあるものの、ICBMではなかった可能性も示唆しています。
altウクライナ紛争でロシアがICBMを発射したとされる現場の画像。破壊された建物や煙が上がる様子が映っている。
ゼレンスキー大統領は通信アプリ「テレグラム」で、ウクライナが「ロシアの新しいロケット」に攻撃され、その「特徴」はICBMのものだと述べています。「速度や高度などすべての特徴がICBMを示している」と主張し、プーチン大統領がウクライナを「訓練の場」として利用していると非難しました。
ウクライナ側の迎撃とロシア側の主張
ウクライナ軍は、今回の攻撃で発射された巡航ミサイル「Kh-101」6発を撃ち落としたとしています。一方、ロシア国防省はイギリス製の巡航ミサイル「ストームシャドウ」2発を防空ミサイルで撃墜したと主張。しかし、具体的な日時や場所は明らかにしていません。
長距離ミサイルの応酬
今回のロシアの攻撃は、ウクライナが外国製の長距離ミサイルをロシア国内に向けて発射した直後に行われました。ウクライナは19日、アメリカから提供された長距離ミサイル「ATACMS」をロシア国内の軍事基地に向けて発射したとされ、20日にはイギリスから供与された長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」をロシア国内の標的に初めて発射したと報じられています。
ICBMとは? その脅威
ICBMは射程距離が5500キロメートルを超え、世界中どこへでも攻撃可能なミサイルです。通常兵器だけでなく核弾頭も搭載可能で、その破壊力は甚大です。初期はロケットで推進され、その後は無動力の軌道で目標へと飛翔します。軍事専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「ICBMの使用は紛争のエスカレーションを招きかねない危険な行為だ」と警鐘を鳴らしています。
今回のICBM発射の真偽、そして今後のウクライナ情勢の行方に、世界中が注目しています。