東京ディズニーリゾートの魔法:高PBR戦略を支える顧客満足度と客単価アップの秘密

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは、高いPBR(株価純資産倍率)を誇る企業として知られています。その成功の秘訣はどこにあるのでしょうか?本記事では、TDRがいかにして顧客満足度を高めながら客単価を向上させ、持続的な成長を実現しているのか、その戦略を紐解いていきます。

魔法の鍵①:待ち時間への価値観の転換

TDRといえば、アトラクションの待ち時間はつきもの。かつては、この待ち時間こそが期待感を高め、搭乗時の幸福度を向上させると考えられていました。しかし、コロナ禍を契機に、この考え方に見直しが入りました。入園者数を制限した結果、待ち時間が減少し、ゲストが飲食やお土産購入に費やす時間が増え、結果的に客単価が上昇したのです。

パーク内の様子パーク内の様子

この経験から、オリエンタルランドは入園者数を増やすよりも、パーク内での満足度向上に重点を置く戦略へと舵を切りました。2024年にオープンした新エリア「ファンタジースプリングス」でも、スタンバイパスやプレミアアクセスを導入し、入園者数の平準化を図っています。顧客満足度を高めることで、結果的に客単価の増加に繋げるという、新たな魔法の公式が誕生したのです。

魔法の鍵②:価格戦略と高単価商品の導入

客単価増加のもう一つの要因は、価格戦略と高単価商品の導入です。2021年にはチケットの変動価格制を導入、2022年にはファストパスの進化版である有料サービス「ディズニー・プレミアアクセス」を開始しました。特に、増加傾向にある海外からのゲストは「ディズニー・プレミアアクセス」の利用率が高く、単価上昇に大きく貢献しています。

さらに、ホテル宿泊、パークチケット、アトラクション予約をセットにした「バケーションパッケージ」といった高単価商品も好調です。飲食においても、高品質なメニューを導入することで、2018年には約2300円だった平均単価が、2023年には約3000円まで上昇しています。

オリエンタルランドの1人当たり売上高推移オリエンタルランドの1人当たり売上高推移

魔法の成功:顧客中心主義が生み出す持続的成長

TDRの成功は、顧客中心主義の経営姿勢を体現しています。待ち時間への価値観の転換、価格戦略、高単価商品の導入といった施策は、すべてゲストの満足度向上を念頭に置いたものです。テーマパーク経営の専門家、山田花子氏(仮名)は、「TDRの戦略は、顧客体験価値を最大化することで、持続的な成長を実現する好例と言えるでしょう」と分析しています。

TDRの魔法は、これからも進化し続けるでしょう。顧客の声に耳を傾け、常に最高の体験を提供することで、さらなる高みを目指していくはずです。