兵庫県知事、斎藤元彦氏の選挙戦におけるSNS戦略を巡り、公職選挙法違反の疑いが浮上し、波紋が広がっている。支援を行ったPR会社の経営者がインターネット上で「広報全般を任された」と発信し、報酬の支払いが疑われている。公選法では、選挙活動における報酬の支払いは厳しく制限されており、PR会社への報酬支払いが事実であれば、公選法違反となる可能性がある。
SNS戦略と公選法違反の疑い
斎藤氏を支援したPR会社の経営者は、自身のSNSで選挙戦におけるSNS戦略の提案や広報活動への関与を示唆する投稿を行っていた。兵庫県選挙管理委員会は、この投稿を把握しており、報酬の支払いが確認されれば公選法違反に該当する可能性があると認識を示している。
兵庫県知事、斎藤元彦氏
公選法では、選挙運動における報酬の支払いは、事務員や車上運動員、手話通訳者などに限定されている。広報戦略やSNS運用といった業務への報酬支払いは、明確に禁止されている行為に該当する可能性が高い。
斎藤知事側の反応と今後の展開
斎藤知事側は、報道陣の取材に対し「法に抵触することはしていない」と主張している。しかし、弁護士の紀藤正樹氏は、自身のSNSでこの件を取り上げ、「法の厳正な捜査が必要で前代未聞の選挙に曖昧さは許されません」とコメントし、徹底的な調査を求めている。
公選法違反である「運動買収」が認定された場合、斎藤氏は失職となり、再選挙が行われる可能性もある。18億円もの費用がかかった前回の知事選を巡っては、既に批判の声が上がっており、再選挙となれば更なる批判は避けられないだろう。
公職選挙法における運動買収とは
公職選挙法では、選挙に関わる買収行為を厳しく禁じている。具体的には、有権者に対して金品を提供し、投票や選挙運動への協力を依頼する行為が買収に該当する。選挙期間外であっても、食事の提供などにも制限が設けられている。
買収行為を行った者と受け取った者には、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が科せられる。立候補者が買収を行った場合は、4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金となり、有罪が確定すれば当選無効となる。さらに、実際に金品を渡していなくても、約束しただけでも違反となる。
まとめ
今回の疑惑は、SNS戦略が選挙活動において重要な役割を果たす現代において、公選法の適用範囲や解釈について改めて議論を呼ぶ可能性がある。今後の捜査の進展が注目される。