少子化の波が押し寄せる韓国では、大学の統廃合が加速しています。地方大学のみならず、女子大学もその例外ではなく、存続の危機に直面しています。打開策として共学化を検討する大学も出てきていますが、学生たちの間では様々な意見が渦巻いています。今回は、同徳女子大学で起こった共学化反対デモについて、その背景や学生たちの訴えに迫ります。
共学化反対デモの勃発:SNSがきっかけで広がった不安
2024年11月、ソウルにある同徳女子大学で共学化反対のデモが発生しました。きっかけは、学内SNSで広まった「学校が共学化を推進している」という噂。真偽は定かではありませんでしたが、学生たちの間に不安が広がり、総学生会主導で抗議運動が始まりました。
同徳女子大学のデモの様子
授業ボイコット、座り込み、スローガンを掲げたプラカードの設置など、学生たちは様々な方法で声を上げました。校庭には葬儀用の花輪が並べられ、大学への抗議の意思を強く示しました。フィリバスター(無制限討論)も行われ、学生たちの切実な訴えが響き渡りました。
大学側の対応と学生たちの不信感:対話の難しさ
大学側は「共学化はあくまで検討段階であり、決定事項ではない」と説明しましたが、学生たちの不信感は拭えませんでした。デモは激化し、校舎の占拠やスプレーによる落書き、銅像への卵や小麦粉の投げつけといった行為にまで発展。一部の学生は銅像の頭をバットで殴るなど、過激な行動に出る者もいました。
この騒動による大学の損害は54億ウォンにものぼるとされ、大学側はデモの主導者への法的措置も辞さない姿勢を示しました。しかし、学生たちは総会で共学化反対の意思を改めて表明。99.9%という圧倒的な反対多数で、学生たちの団結力を見せつけました。
怒りの表情で抗議する学生
休戦状態へ:今後の行方は
最終的に、大学側が共学化議論の中断を発表し、学生側も占拠を一部解除。事態は一時的に休戦状態となりました。しかし、根本的な解決には至っておらず、今後の行方は不透明です。
韓国の女子大を取り巻く現状、そして少子化問題。伝統を守りたい学生、大学の未来を案じる関係者。それぞれの想いが複雑に交錯する中で、解決策を見出すのは容易ではありません。 著名な教育評論家、金智秀氏も「女子大の共学化は単なる制度変更ではなく、教育理念や学生のアイデンティティに関わる重要な問題。丁寧な議論と合意形成が不可欠だ」と指摘しています。
今回のデモは、韓国社会における女子大の意義、そして教育の未来について改めて考えさせる出来事となりました。