エリア51のUFO・エイリアン騒動、実はペンタゴンによる周到な「情報工作」だった

アメリカ、ネバダ州の広大な砂漠地帯に位置する軍事施設、通称「エリア51」。この極秘施設を巡っては、長年にわたり未確認飛行物体(UFO)や地球外生命体(エイリアン)の研究・隠蔽が行われているとの噂がまことしやかに囁かれてきました。しかし、最近の報道により、これらの風説の多くが米国防総省(ペンタゴン)によって仕掛けられた組織的な「情報工作」だったことが明らかになっています。これは、真の目的である秘密兵器開発から世間の目を逸らすための巧妙な策略だったと報じられています。

エリア51とは?その起源と噂

エリア51は、ネバダ州ラスベガスの北東に位置する米空軍ネリス試験訓練場内にある、特に機密性の高い施設です。地図上のコード名「51」から通称エリア51と呼ばれ、正式名称はホーミー空港といいます。複数の滑走路や建造物を備え、砂漠の中に突如現れた都市のような様相を呈しています。厳重な立ち入り制限が敷かれていることから、その内部では何か秘密裏な活動が行われているのではないかとの憶測が絶えませんでした。1947年のロズウェル事件以来、墜落したUFOの回収・分析や、捕獲したエイリアンの研究が行われているという噂が広がり、政府による隠蔽工作だとする主張は、しばしば陰謀論として語られてきました。この地域は長らく、未確認飛行物体や超常現象の目撃談が多発する場所として知られていました。

ペンタゴンによる情報工作の手法が明らかに

しかし、長年にわたるこの謎に対する真実は、予想もしない形で明らかになりました。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は最近、「アメリカのUFO神話を煽ったペンタゴン(米国防総省)の虚偽情報」と題する記事を掲載しました。この記事は、ペンタゴンが「エイリアンの技術に関する証拠を捏造し、実在する秘密兵器プログラムを隠蔽するために噂を流した」と結論付けています。つまり、エリア51に実際にはエイリアンやUFOの残骸は存在しないにもかかわらず、あたかもそれらを隠しているかのように見せかける情報操作を行うことで、そこで実際に行われていた新型航空機などの秘密兵器開発から人々の関心と注意を逸らしていたというのです。

虚偽情報の拡散方法と証拠

この報道は、国防総省の全領域異常解決局(AARO)がまとめた調査報告書に基づいています。AAROは、軍事施設周辺での未確認異常現象(UAP)の目撃例を調査し、2023年にその結果をまとめています。公開版の報告書では「政府のUFO隠蔽説には根拠がない」と結論付けていますが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が現職および元政府関係者24人への取材や数千ページに及ぶ内部文書の分析を通じて明らかにしたのは、この公開版から重要な事実が削除されていたという点です。具体的にどのような情報操作が行われたのか、一つの例が紹介されています。1980年代、エリア51近くのバーに立ち寄った空軍大佐が、空飛ぶ円盤らしき写真を店主に「偶然」手渡し、その写真が店に飾られることで、地元の噂好きたちの間で「米軍がエイリアンの技術を極秘に実験している」という尾ひれのついた噂が瞬く間に広まった、といった具体的な虚偽情報の拡散事例が挙げられています。数百人の軍関係者に虚偽の情報が与えられていたなど、組織的な情報操作は2023年まで続いていたと報じられています。

エリア51近くのイベントに集まる人々(2019年、ネバダ州)エリア51近くのイベントに集まる人々(2019年、ネバダ州)

結論:隠蔽の裏にあった本当の目的

今回のウォール・ストリート・ジャーナル紙による報道は、長年語られてきたエリア51とUFO・エイリアンにまつわる謎が、政府による意図的な情報操作によって作られた「神話」であったことを示唆しています。ペンタゴンは、エイリアンやUFOの存在を隠しているかのように見せかけることで、自らが開発していた高度な軍事技術や秘密兵器プログラムから世間の目を逸らし、その機密性を確保しようとしたのです。この事例は、国家安全保障上の理由から政府がいかに巧妙な情報操作を行うことがあるかを示す、現代における情報戦の一端を浮き彫りにしています。

参考資料

  • ウォール・ストリート・ジャーナル紙 2024年7月6日記事「アメリカのUFO神話を煽ったペンタゴン(米国防総省)の虚偽情報」(The Pentagon Fueled U.S. UFO Myths With Disinformation)
  • 米国防総省 全領域異常解決局(AARO) 2023年調査報告書(公開版)



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