日本の賃金が30年間も低迷している現状は、多くの人にとって大きな関心事となっています。ニュースや白書で目にする諸外国との比較グラフ、そして実感とのギャップ。一体何が日本の賃金上昇を阻んでいるのでしょうか?この記事では、その謎に迫り、賃金停滞の真の原因を探ります。
データで見る日本の賃金:停滞の現実
令和4年版労働経済白書に掲載されたグラフは、日本の賃金停滞の深刻さを如実に表しています。G7諸国の中で、日本だけがほとんど賃金上昇しておらず、他国が着実に成長を続ける中、取り残されている状況が見て取れます。
G7諸国の賃金比較グラフ
このグラフは、多くの人の目に触れられている一方で、個々の実感とのずれを感じている方もいるのではないでしょうか?毎年春闘で2%程度の賃上げが発表されているにも関わらず、30年間で8割増しになるはずの計算が現実には反映されていない。この矛盾はどこから来るのでしょうか?
春闘の数字と現実の乖離:何が賃上げを阻むのか?
春闘での賃上げ率は、政府や経済団体、労働組合の発表で毎年2%程度とされています。単純計算では、10年で2割増し、20年で5割増し、30年で8割増しとなるはずですが、現実は大きく異なります。この乖離の背景には、様々な要因が絡み合っています。
企業規模による格差
大企業を中心に賃上げが行われてきた一方で、中小企業では賃上げが進んでいない現状があります。経済構造の変化やグローバル化の影響を受けやすい中小企業は、賃上げに踏み切れないケースが多く、これが全体的な賃金上昇を抑制する一因となっています。
非正規雇用の増加
非正規雇用の増加も、賃金停滞に大きく影響しています。正規雇用に比べて賃金水準が低い非正規雇用が増加することで、全体の平均賃金が押し下げられる結果となっています。
賃金決定システムの課題
日本の賃金決定システムは、年功序列型をベースとしたものが主流です。しかし、このシステムは、個人の能力や成果を適切に反映しにくい側面があり、生産性向上や賃金上昇の阻害要因となっている可能性も指摘されています。
専門家の見解:賃金停滞打破への提言
人事コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、日本の賃金停滞を打破するためには、「ジョブ型雇用」の導入と「成果主義」の強化が不可欠だと指摘します。「個人の能力や成果に基づいた賃金決定システムを構築することで、従業員のモチベーション向上と生産性向上を図り、賃金上昇の好循環を生み出すことができる」と述べています。
今後の展望:賃金上昇への期待
政府は、賃金上昇を促進するための政策を積極的に推進しています。最低賃金の引き上げや、生産性向上のための支援策などが実施されており、今後の賃金動向に注目が集まっています。
日本経済の持続的な成長のためには、賃金上昇は不可欠です。企業、労働者、そして政府が一体となって、賃金上昇に向けた取り組みを強化していくことが求められています。