中国金融界に激震が走っています。元中国銀行党委員会書記兼会長の劉連舸被告(63)に対し、山東省済南市の中級人民裁判所は、20億円を超える贈収賄容疑で死刑執行猶予の判決を下しました。一体何が起きたのでしょうか?この記事では、事件の背景や詳細、中国の腐敗問題について詳しく解説します。
20億円超の贈収賄、不正融資で巨額損失
裁判によると、劉被告は2010年から2023年にかけて、中国輸出入銀行や中国銀行など複数の金融機関で要職を歴任する中で、1億2100万元(約25億5500万円)もの賄賂を受け取っていたとされています。
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さらに、劉被告は条件を満たさない企業に33億2000万元もの融資を行い、結果として1億9070万元以上の元金損失を招いたことも明らかになりました。裁判所は、贈収賄の金額の大きさ、犯罪経緯の深刻さ、そして社会に及ぼした悪影響を量刑の理由として挙げています。
死刑執行猶予の真相:中国特有の司法制度
中国では、死刑執行猶予は2年間の執行猶予期間を経て、受刑態度などを考慮した上で無期懲役に減刑されるという、独特の司法制度です。今回の劉被告のケースでは、死刑は免れたものの、追加減刑や仮釈放なしの終身刑となる可能性が高いと見られています。
裁判所は、劉被告が犯行を自白し、有罪を認め、さらに受け取った賄賂を返還するなど反省の態度を示したことから、死刑執行を猶予したと説明しています。
中国金融界を揺るがす腐敗問題:高官の失脚相次ぐ
劉被告は吉林省出身で、人民銀行で約20年間勤務後、中国輸出入銀行副頭取、頭取、中国銀行頭取などを歴任し、2019年には中国銀行理事会会長兼党委員会書記に就任しました。しかし、不正行為が発覚し、昨年3月に失脚しました。
中国では今年に入り、高官が腐敗容疑で相次いで失脚するなど、金融界を揺るがす事態が続いています。例えば、先月には人民銀行元副総裁の範一飛氏が70億円台の賄賂を受け取った容疑で死刑執行猶予の判決を受けています。
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習近平政権の反腐敗運動:高強度の監査作業続く
習近平国家主席は、3月末の共産党指導部会議で「腐敗が繁殖する土壌と条件を断固として除去しなければならない」と発言し、高強度の反腐敗監査作業を継続する姿勢を示しています。今回の劉被告への判決も、この反腐敗運動の一環と捉えることができます。
中国政府は、腐敗撲滅に向けて厳しい姿勢を崩していません。今後、更なる摘発や改革が行われる可能性もあり、引き続き注目が必要です。