韓国からの訪日旅行者の間で、旅行先のトレンドが変化している。かつて円安を背景に割安感が強調された日本の旅行だが、最近では費用対効果の揺らぎが見られ、東京や大阪といった大都市から、福岡や札幌などの地方都市へのシフトが進んでいる。訪日韓国人旅行者の傾向について、詳細な分析が報告された。
コスト要因の変化と旅行トレンド
日本は韓国人海外旅行者にとって依然として最も人気の旅行先であり、全体の約3分の1を占める。しかし、旅行理由として「費用・物価」を挙げる割合が以前の24%から17%へと顕著に低下した。これは、円高進行による旅行コストの上昇や、日本国内での物価高騰が影響していると考えられる。一方で、「旅行期間や移動距離が短い」ことを理由とする割合は35%で最多を維持している。
地方都市へのシフト具体例
こうした状況の中、旅行先の選択にも変化が見られる。福岡は韓国からの距離が近く、物価も比較的抑えられていることから人気が高まり、旅行先シェアが2023年の20%から2025年には23%に上昇した。札幌や沖縄もそれぞれ10%から11%、5%から6%へと増加傾向を示している。対照的に、東京は26%から24%へ、大阪は34%から31%へと、両大都市はシェアをやや落とす結果となった。
韓国人観光客増加傾向にある福岡・博多の賑わい
背景と今後の展望
これらの変化は、円高や物価上昇に加え、特定の観光地への集中によるオーバーツーリズム、さらには韓国国内の景気悪化といった複数の要因が複合的に作用した結果と分析されている。調査担当者は、円安のメリットがさらに薄れる場合、旅行コストを抑えられる目的地への再調整が今後も進む可能性を指摘している。また、昨年末のビザ免除措置以降増加している中国など他アジア諸国への旅行意欲も影響する可能性があり、さらには国内旅行への回帰傾向が見られる可能性も示唆されている。
韓国人訪日旅行者の間では、円安メリットの減少と物価高騰を背景に、旅行先が大都市から地方都市へと分散する動きが明確になっている。これは、よりコスト効率の良い旅行先を求める傾向と、オーバーツーリズムへの回避意識が組み合わさった結果と言えるだろう。今後の訪日旅行市場は、為替や物価だけでなく、他国への旅行動向や韓国国内経済の状況にも左右され、新たな展開を迎える可能性が高い。
引用元: KOREA WAVE/AFPBB News
出典リンク: https://news.yahoo.co.jp/articles/5b5e3a38dd5d96382a39c7013a13a52e8c268dda