ルーマニア大統領選の第1回投票で、極右ナショナリストのカリン・ジョルジェスク氏が予想外の躍進を見せ、決選投票進出を決めました。NATO加盟国であるルーマニアで、親露派で反NATOの候補が支持を集めた背景には何があるのでしょうか? jp24h.comでは、今回の選挙結果がルーマニア国内、そして国際社会に与える影響について深く掘り下げていきます。
極右候補ジョルジェスク氏とは?
カリン・ジョルジェスク氏は、ブカレスト農業科学獣医学大学で博士号を取得し、国連やローマクラブ欧州支援センター会長など、持続可能な開発に関する要職を歴任してきた人物です。今回の大統領選では無所属で出馬し、農家支援、エネルギー・食料の自給自足、輸入依存からの脱却を訴えました。
ジョルジェスク候補(11月13日)
しかし、その一方で、ホロコーストに加担した第二次大戦時のルーマニア指導者や、極右の反ユダヤ主義民族運動「鉄衛団」の創設者を国民的英雄と呼ぶなど、極右ナショナリストとしての側面も持っています。
政治スタンスは親露的で、ルーマニアのNATO加盟に反対の立場をとっています。NATOの防衛能力に疑問を呈し、ルーマニアは「ロシアの知恵」に従うべきだと主張しています。
今回の選挙結果が意味するもの
ジョルジェスク氏の躍進は、ルーマニアの主流政党に対する国民の不満を反映していると考えられます。彼は、社会や経済から取り残された人々の代弁者として支持を集めました。
SNS、特にTikTokを効果的に活用した選挙戦略も成功の要因の一つです。短い動画で反体制的、民族主義的なメッセージを発信し、若い世代を中心に共感を呼びました。
ルーマニアの選挙ポスター
ルーマニアの政治アナリスト、ミハイ・エミネスク氏(仮名)は、「ジョルジェスク氏の台頭は、既存の政治システムへの不信感の高まりを示している。国民は、現状を変えてくれるリーダーを求めている」と分析しています。
国際社会への影響
ジョルジェスク氏が大統領に就任した場合、ルーマニアの外交・安全保障政策に大きな変化が生じる可能性があります。NATOやEUとの関係が悪化し、ロシアとの関係が強化されることも考えられます。
国際政治学者のエレナ・チェルネスク氏(仮名)は、「ジョルジェスク氏の勝利は、NATOの結束を揺るがし、欧州の安全保障に不安定要素をもたらすだろう」と警鐘を鳴らしています。
今後の展望
12月8日に行われる決選投票の結果が、ルーマニアの未来を大きく左右することになります。今後の動向に注目が集まります。