M-1グランプリ2025：新王者たくろうと新時代の審査員、ミルクボーイ駒場孝の存在感

2025年のM-1グランプリは、初ファイナリストにして観客を爆笑の渦に巻き込んだ「たくろう」が栄冠に輝き、まさに新時代の幕開けを告げました。その一方で、今回から加わった初顔の審査員たち、特にミルクボーイの駒場孝さんが大きな注目を集め、大会に新たな彩りを添えました。この記事では、M-1グランプリの変革と、新王者たくろうの快挙、そして審査員として存在感を発揮した駒場孝さんの役割について深掘りします。

「9人体制」の新時代を彩る審査員、駒場孝の存在感

2025年のM-1グランプリは、昨年から引き続き9人体制の審査員で進行しましたが、顔ぶれに変化がありました。NON STYLEの石田明さんとオードリーの若林正恭さんが降板し、新たにフットボールアワーの後藤輝基さんとミルクボーイの駒場孝さんが初審査員として加わったのです。2023年までの7人体制では、すべての審査員にコメントが求められ、ダウンタウンの松本人志さんが実質的な審査員長として多くの注目を集めていました。しかし、9人体制への移行により、個々の審査員の採点が合計点に与える影響は相対的に薄まり、ネタ後のコメント機会も減少しました。

そのような状況下で、視聴者の関心は限られた審査コメントや、初登場の審査員に集まるようになりました。その中でも特に際立った存在感を放っていたのが、ミルクボーイの駒場孝さんです。ベテラン勢が並ぶ審査員席において、若手チャンピオンとして率直かつ的確なコメントは、視聴者だけでなく出場芸人にも新鮮な視点を提供しました。

テレビ大阪株式会社プレスリリースより、M-1グランプリ2025の様子

伝説的王者ミルクボーイ、大阪拠点の誇りと審査員抜擢の理由

ミルクボーイは、2019年のM-1グランプリで「コーンフレーク」の漫才を披露し、当時のM-1史上最高得点という衝撃的な記録で優勝を果たしました。お笑いファンの間では「M-1で一番笑ったネタ」「前評判の高かったかまいたちを破ったのも納得」と、今なお伝説的な漫才として語り継がれています。多くのM-1チャンピオンが優勝後に上京し、テレビのレギュラー番組などで東京を拠点に活動する中、ミルクボーイは優勝後も一貫して大阪を拠点に活動を続けてきました。彼らは大阪の劇場を中心に漫才に磨きをかけ、2022年には漫才界で最も古い歴史を持つ「第57回上方漫才大賞」で大賞を受賞するという快挙を成し遂げました。1966年から続く上方漫才大賞において、奨励賞や新人賞を経ずに直接大賞受賞を果たしたのは、1974年以来48年ぶりという異例の出来事でした。

現在も30代であり、歴代M-1チャンピオンが数多く名を連ねる審査員の中では最も若い駒場孝さん。M-1優勝後も漫才に真摯に向き合い、大阪を拠点に活動を続けてきたその姿勢は高く評価され、今回の審査員抜擢に誰もが納得するものでしょう。彼の経験と実績が、M-1の新たな時代を築く上で重要な役割を担っています。

2019年M-1グランプリで優勝したミルクボーイの様子

M-1グランプリの未来と新時代の展望

2025年のM-1グランプリは、たくろうという新星の誕生と、駒場孝さんをはじめとする新たな顔ぶれの審査員によって、これまでの大会とは一線を画す「新時代」の到来を印象付けました。9人体制の審査員による多角的な評価、そしてベテランから若手までの多様な視点が融合することで、M-1グランプリはさらなる進化を遂げることでしょう。漫才の面白さを追求し続ける芸人たちの熱い戦いはもちろんのこと、彼らを評価する審査員たちのコメントにも、今後ますます注目が集まります。この新たなM-1の潮流は、お笑い界全体に活気をもたらし、次世代のスター誕生への期待を高めています。

参考文献: