中国産の低価格攻勢と相次ぐ火災などで厳しい状況に直面しているポスコが創業以来初めてストライキ危機を迎えた。年初から始まった賃金交渉が決裂し、中央労働委員会の2回の調停までが失敗した中、ポスコ労働組合は最近、投票でストライキを議決した。これを受け、ポスコのパートナー会社が声明を出し、「ポスコのストライキは無責任な行動」としてストライキの自制を訴えている。地域の市民団体もストライキに反対する内容の横断幕などを設置している。
◆ポスコ労働組合、来月「ストライキ出征式」
ポスコ労働組合争議対策委員会は来月2、3日に浦項(ポハン)製鉄所本社前と光陽(クァンヤン)製鉄所第1門の前でそれぞれストライキ出征式を開くことにした。これに先立ちポスコ労働組合は25日午前6時から午後5時までモバイルで進行された争議行為賛否投票で、全体組合員7934人のうち7356人が投票に参加し、うち5733人(72.25%)が争議行為に賛成した。
争議対策委は「持ち株会社ポスコホールディングスが設立されて以降、鉄鋼の収益は鉄鋼産業の未来のための設備投資や人的資源の強化でなく、非鉄鋼分野に集中している」とし「その結果、第3ファイネックス工場爆発火災など安全上の問題や大規模な離職という深刻な事態が発生した。装置産業の根幹となる設備や技術力が崩壊し、会社の未来はますます不確実になっている」と指摘した。
続いて「最近、給与と福祉レベルの低下、職員の離脱、鉄鋼への投資縮小などで地域経済を支えてきた企業の生存が脅かされ、地域消滅危機が加速化している。世界で最も競争力がある製鉄所にふさわしい職員処遇改善と所得増大を通じて地域経済を生かし、地域の企業と共生する好循環構造を築かなければいけない」と主張した。
ポスコ労働組合は基本金8.3%引き上げと激励金300%を要求している。一方、使用者側は基本給8万ウォン(8700円)引き上げと一時金600万ウォンを提示した。
◆経営悪化に労使交渉決裂
使用者側はグローバル景気鈍化と国内建設景気の不況、中国産鉄鋼材の流入、電気料金引き上げなどの複数の悪材料のため労働組合の主張は受け入れられないと主張している。今年7-9月期のポスコの売上高は9兆4790億ウォン、営業利益は4380億ウォンと、前年同期比でそれぞれ2%減、39.8%減となった。今年10-12月期の業績も楽観できない。
特にポスコは7月に浦項製鉄所第1製鋼工場を、今月19日には第1線材工場を閉鎖した。世界的な鉄鋼供給過剰と海外の低価格鉄鋼材攻勢などで悪化する収益性を改善し、効率化するための決定だ。さらに浦項製鉄所では10日と24日、第3ファイネックス工場で火災が2回発生した。
ポスコ労働組合のストライキが迫り、パートナー会社は危機感を感じている。浦項製鉄所パートナー社協会に所属する41社は27日、声明を出し、「争議行為はポスコと共にする協力会社とサービス会社の生活の基盤を崩壊させる」とし「地域社会とパートナー会社に背を向けず、争議行為が発生しないように速やかに賃金交渉を終えてほしい」と訴えた。
地域市民団体のほか、中小企業技術革新協会、浦項市議会6大議員会など浦項地域の7団体も浦項地域の各地に労使対話を求める横断幕を設置した。横断幕には「労使対話で解決してください。ポスコがストップすれば浦項経済もストップします」などと書かれている。