兵庫県斎藤元彦知事のパワハラ疑惑に関する県職員アンケート。ネット上では「誰でも何度でも回答できる」「信憑性がない」といった情報が拡散されています。この記事では、これらの情報の真偽を詳しく検証し、アンケートの実態を明らかにします。
県議会主導の公式アンケート
兵庫県議会で実施されたアンケートに関する報道写真
ネット上で拡散している情報の中には、このアンケートが「県議の私的な行動」であるというものがあります。しかし、事実は全く異なり、これは地方自治法第100条に基づき設置された、県議会「文書問題調査特別委員会」(百条委員会)による公式な調査です。強い調査権を持つ百条委員会が、知事のパワハラ疑惑の真相解明のために行ったものです。
回答方法と集計結果
拡散された誤情報を含むSNS投稿
アンケートは2024年7月31日から8月15日にかけて、警察官や教職員、病院職員などを除く約9,700人の県職員を対象に実施されました。職員個人のメールアドレス宛にGoogleフォームへのリンクが送られ、パワハラに関する目撃情報や伝聞情報などを回答する形式でした。自由記述欄も設けられていました。
アンケート用紙の一部
集計結果によると、6,725件の回答があり、「知事のパワーハラスメントを直接知っている」と回答したのは140件。「直接知っている人から聞いた」と「人づてに聞いた」を合わせると2,851件で、全体の42%を占めています。
複数回答の可能性は低い
アンケート結果のグラフ
ネット上では「一人で何度も回答できる」という指摘も見られますが、県議会事務局によると、回答は職員一人につき一回のみ。職員のメールアドレスに紐づけられたGoogleフォームを利用し、複数回答を防ぐ仕組みがとられていました。 行政情報システムの専門家である佐藤一郎氏(仮名)も、「個別のメールアドレスへの送信方式は、複数回答のリスクを最小限に抑える効果的な方法」と指摘しています。
年代の偏りは調査対象によるもの
一部では「回答者の年代が偏っている」との声も上がっていますが、これは警察官や教職員など、特定の職種が調査対象から除外されていることが原因と考えられます。これらの職種には特定の年代層が集中している可能性があり、結果的に回答者の年代構成に影響を与えたと推測されます。
正確な情報に基づいた理解を
今回のアンケートは、百条委員会による公式調査であり、複数回答や年代の偏りといったネット上の情報は誤解に基づくものであることが明らかになりました。正確な情報を把握し、冷静な議論を心がけることが重要です。