拉致被害者家族の悲痛な叫びが、海を越えて日本へ届く。戦後拉北者被害家族連合会が、拉致被害者の情報が記されたビラを朝鮮総連本部に散布する計画を立てている。この大胆な行動の裏には、一体どんな思いが込められているのだろうか。
拉致問題解決への新たな一手:無人機でビラ散布
戦後拉北者被害家族連合会は、12月12~13日に拉致被害者や家族と共に東京を訪れ、朝鮮総連本部に無人機を使ってビラを散布する計画を発表した。ビラには、拉致被害者の情報や北朝鮮に抑留されている人々の名前が記されている。無人機の使用手続きも既に完了しており、周到な準備が進められていることが伺える。
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崔成龍理事長は、朝鮮総連本部を標的に選んだ理由について、国外にある代表的な親北朝鮮団体であること、そして拉致問題が日本においても高い関心を集めている政治問題であることを挙げている。日本国内での認知度向上を狙った戦略的な行動と言えるだろう。
情報戦を展開:日本市民にもビラ配布
朝鮮総連本部へのビラ散布だけでなく、拉致被害者に関する情報が記されたビラを日本の市民にも配布する予定だ。これは、拉致問題に対する理解と関心を日本社会全体に広げ、北朝鮮への圧力を高める狙いがあると見られる。
崔理事長は、「朝鮮総連は日本にある北朝鮮の公館のような存在であり、北朝鮮領土にビラを送るのと同じ効果がある」と述べている。 今後の活動についても言及し、来年はスイス、英国、ドイツなどにある北朝鮮の在外公館でもビラ散布を行う計画を明らかにした。拉致問題解決に向けた強い意志が感じられる。
韓国政府の対応は?
戦後拉北者被害家族連合会は、韓国の外務部長官と統一部長官に文書を送り、朝鮮総連本部でのビラ散布計画を伝え、駐日韓国大使との面会やビラ散布の支援を要請した。
韓国外交部は、現時点ではコメントできないとしている。一方、統一部は拉致被害者家族の心情と問題解決への努力を理解しつつも、海外での集会に関する制度があるため、関係部署と状況について協議を続けるとの立場を示している。
拉致問題解決への道筋は?
今回のビラ散布計画には、1975年に拉致され2007年に脱北して韓国に戻ったイ・ハンソプ氏や、韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合」の朴相学代表も同行する予定だ。彼らの参加は、拉致問題の深刻さを改めて世に訴える力強いメッセージとなるだろう。
拉致問題は、一刻も早い解決が求められる人道上の重大な問題だ。戦後拉北者被害家族連合会の今回の行動が、拉致問題解決への突破口となるか、今後の展開に注目が集まる。