日産自動車の内田誠社長が就任から5年を迎えた今、同社は依然として苦境に立たされています。販売台数の減少、株価の低迷、大規模リストラなど、課題は山積みです。この記事では、日産の現状と今後の展望について詳しく解説します。
販売不振と株価低迷の現実
内田社長は就任当初、ゴーン前体制からの脱却を宣言し、高い目標を掲げました。しかし、販売計画は過大で、世界販売台数は就任当初の約500万台から340万台まで落ち込んでいます。
日産の内田社長就任後初の記者会見の様子
この結果、2024年9月中間連結決算では、最終黒字が前年同期比9割減の192億円となりました。市場の反応も厳しく、日産の株価は就任時から5割近く下落しています。一方、トヨタ自動車の株価はこの5年間で7割も上昇しており、その差は歴然です。自動車業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「日産は、市場のニーズを的確に捉えた商品開発に遅れを取っている」と指摘しています。
売れる車がない…HV投入の遅れと中国勢の攻勢
日産の苦境の最大の要因は、「売れる車がない」ことです。米国ではEVに代わりHVの人気が高まっていますが、日産はHVの投入が遅れています。また、中国や欧州では、低価格を武器とする中国メーカーの攻勢に苦戦を強いられています。販売奨励金を積み増すことで在庫を減らそうとする悪循環に陥っているのです。
リストラと生産能力削減で止血を図るも…
日産は11月、世界で9000人の人員削減と生産能力を2割減の400万台とするリストラ策を発表しました。タイの生産拠点の一部集約や、米国、英国工場での減産も実施しています。しかし、これらの対策はあくまで一時的なものであり、抜本的な改革が必要です。自動車ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「リストラは痛みを伴うが、将来への投資を怠ってはならない」と警鐘を鳴らしています。
未来への展望:EV戦略と提携強化が鍵
日産の未来は、EV戦略と提携強化にかかっています。ルノーとのアライアンスを強化し、EV技術の開発やプラットフォームの共有を進めることが重要です。また、自動運転技術やコネクテッドカー技術への投資も欠かせません。変化の激しい自動車業界で生き残るためには、大胆な改革とイノベーションが必要です。
まとめ
日産は、内田社長就任から5年が経過した今もなお、厳しい状況にあります。販売不振、株価低迷、中国勢の攻勢など、課題は山積みです。しかし、EV戦略や提携強化を通じて、未来を切り開く可能性も残されています。今後の日産の動向に注目が集まります。