北朝鮮では、今年の夏に発生した大規模洪水からの復旧作業が今もなお続いています。金正恩総書記が年末までの復旧完了を厳命したため、作業員たちは極寒の冬の中でも、夜を徹して作業を強いられているという現状が明らかになっています。今回は、過酷な労働環境の実態と、その背後にある問題点について深く掘り下げていきます。
真冬の夜間作業、暖房は焚き火…想像を絶する過酷な労働環境
中国のSNSで拡散された平安北道義州郡の映像は、北朝鮮の復旧作業の過酷さを物語っています。マイナス5度を下回る寒さの中、夜間にもかかわらず作業は続けられており、周辺には照明もなく、マンションの窓から漏れる赤い光だけが頼りとなっています。作業員たちは、マンション内で焚き火をして暖を取りながら作業を続けているという、信じがたい状況が浮き彫りになっています。まるで時代を逆行しているかのような、劣悪な労働環境に言葉を失います。
北朝鮮の夜間復旧作業の様子
韓国の建設災害協会会長、チャン・チョンギュ氏は「このような状況下での作業は、安全面からも非常に懸念される」と指摘しています。専門家の意見からも、北朝鮮の復旧作業における安全対策の欠如が深刻な問題であることが分かります。
安全器具なしの高層作業…事故の危険性
さらに、高層階での作業も安全器具なしで行われていることが確認されています。屋根の上で作業する作業員の姿や、外壁作業員を乗せたゴンドラを人力で支える様子は、まさに命懸けです。一歩間違えれば大事故につながる危険性が極めて高く、作業員の安全は全く保障されていないと言えるでしょう。
こうした危険な作業を強いる背景には、金正恩総書記の「年末までの復旧完了」という指示があります。労働新聞も、金正恩総書記の地方発展政策を改めて強調しており、住民の生活再建よりも、政治的パフォーマンスを優先している実態が垣間見えます。
人命軽視の政治体制…北朝鮮の未来は?
北朝鮮の過酷な労働環境は、人命軽視の政治体制を象徴しています。国際社会は、北朝鮮の人権状況に改めて目を向け、改善に向けた取り組みを強化する必要があります。真冬の寒さの中、危険な作業を強いられている北朝鮮の人々の現状を、私たちは決して忘れてはなりません。
北朝鮮の復旧作業は、単なる自然災害からの復興という枠を超え、同国の人権問題、政治体制の歪みを浮き彫りにしています。今後、北朝鮮がどのようにこの問題に向き合い、解決していくのか、引き続き注目していく必要があります。