2024年のユーキャン新語・流行語大賞に「ふてほど」が選ばれ、話題を呼んでいます。しかし、この選出に疑問の声も少なくありません。そもそも「ふてほど」とは、TBSドラマ『不適切にもほどがある!』の略称ですが、実際に使われている場面を目にした人は少ないのではないでしょうか。主演の阿部サダヲ氏自身も、授賞式でこの略称を使ったことがないと発言し、戸惑いを隠せない様子でした。
なぜ「ふてほど」が選ばれたのか?
選考委員会の意図はどこにあるのでしょうか。「裏金問題」や「ホワイト案件」といった、現代社会の暗い側面を表す言葉もノミネートされていた中、「ふてほど」を選んだ背景には、明るい話題に焦点を当てたいという思いがあったのかもしれません。
昭和へのノスタルジア
「ふてほど」は、タイムトラベルを通じて昭和と令和をつなぎ、文化の違いをユーモラスに描いた作品です。セクハラやパワハラ、ジェンダー問題など、現代社会の息苦しさや不自由さを風刺的に描いており、共感を呼んだ一面もあります。
昭和レトロな雰囲気の喫茶店
しかし、この作品の魅力は、理想化された昭和を描いている点にもあります。現代社会の窮屈さとは対照的に、自由で活気のある昭和というユートピアが、視聴者の心を掴んだと言えるでしょう。
現代社会の闇を覆い隠すノスタルジア
「ふてほど」の選出は、現代社会の暗い側面から目を背けたいという心理の表れなのかもしれません。「闇バイト」などの犯罪が横行し、社会不安が高まっている現状を、ノスタルジックな昭和の世界観で覆い隠そうとしているのではないでしょうか。
闇バイト問題の深刻化
石破茂元首相も、闇バイトによる犯罪の増加を憂慮し、対策の必要性を訴えています。他者への思いやりや努力といった、かつて大切にされてきた価値観が揺らぎつつある現代社会において、「ふてほど」のような明るい話題で現実逃避をするのではなく、問題の根本的な解決策を探る必要があるのではないでしょうか。
闇バイト募集のチラシをイメージした画像
流行語大賞の意義とは?
今回の選出は、流行語大賞の意義を改めて問うものとなりました。時代を反映する言葉を選ぶだけでなく、社会が抱える問題にも目を向け、未来への希望を示すような言葉を選ぶ必要があるのではないでしょうか。「ふてほど」は、一時的な慰めにはなるかもしれませんが、真の解決策にはならないでしょう。