PTA改革の波が全国に広がる中、各地のPTA組織が続々と日本PTA全国協議会(日P)からの脱退を表明しています。一体、PTA組織の頂点に立つ日Pに何が起こっているのでしょうか?
日Pに何が起こっているのか?
2022年頃から日Pを取り巻く空気に変化が現れ始めました。それ以前にも運営方法や全国大会のあり方に対する疑問の声はありましたが、目に見える動きはありませんでした。しかし、2022年春、京都市PTA連絡協議会(京都市P)会長だった大森勢津氏が日Pからの退会を提案、質問状を公開したことで大きな波紋が広がりました。その後、東京都、千葉市、さいたま市のPTA組織も日Pからの脱退を表明。さらに、岡山県PTA連合会は2024年度末での解散を発表しました。都道府県レベルのPTA組織の解散は全国で初めてです。
京都市PTA連絡協議会の会長だった大森勢津氏に関する画像
不透明な運営と相次ぐ不祥事
下部組織の離反の背景には、日Pのずさんで不透明な運営があります。2023年春には、2022年度の会計で約5000万円の赤字が発覚。当時の会長が原因究明を宣言したものの、翌月の理事会で「パワハラ」を理由に解任される事態となりました。解任された会長はこれを事実無根として名誉毀損の訴訟を起こしています。
業務上横領と背任容疑での逮捕劇
2024年夏には、日Pの元参与が業務上横領と背任の容疑で逮捕されました。日P会館の修繕工事の際、代金を水増し請求させ、日Pに約1200万円の損害を与えたとされています。不正に関与した事務局長と次長も懲戒解雇され、日Pは事務局長不在の状態が続いています。
内閣府からの報告要求
さらに、内閣府は日Pに対し、公益法人として適切な運営が行われていない疑いがあるとして、業務の実態や修繕工事の発注に関する事実関係、理事の認識、再発防止策等の報告を要求しました。日Pは報告書を提出済みとしていますが、公開予定はなく、会員への報告についても検討中とのことです。
PTAの未来はどこへ向かうのか?
一連の不祥事と下部組織の離反は、日Pの組織運営に深刻な問題があることを示しています。「子どもたちのために」というPTA本来の目的を達成するためには、透明性のある運営と説明責任を果たすことが不可欠です。今後の日Pの対応、そして全国のPTA組織の動向に注目が集まります。
専門家(教育評論家 山田一郎氏)は、「PTA改革は避けて通れない課題であり、日Pの現状は改革の必要性を改めて示している。保護者にとってより良い組織となるよう、積極的な議論と改革が求められる。」と述べています。