韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳令を発令した12月3日夜、国会議事堂が一時的に封鎖された。この措置の背景には、警察内部の葛藤と混乱があったことが明らかになっている。一体何が起こったのか、詳しく見ていこう。
非常戒厳令発令直後の緊迫状況
尹大統領が非常戒厳令を発令した直後、警察庁長はソウル警察庁長に国家主要施設の警備強化を指示。これを受け、ソウル警察庁長は国会議事堂への出入りを一時的に禁止した。戒厳令の効力停止を議決するため、続々と集まってきた国会議員や報道陣は議事堂に入れず、現場は騒然となった。
韓国国会議事堂前の様子
警察内部の葛藤と混乱
当初、ソウル警察庁は「突発事態発生の可能性」を理由に国会議事堂への出入り規制を正当化した。しかし、現場の若い警察官からは「国会議員の議政活動を妨げるのはおかしい」という声が上がり、一部の幹部からも「反憲法的だ」との意見が出た。この内部の葛藤を受け、ソウル警察庁長は一時的に議員らの入構を許可する指示を出した。
揺れ動く警察の対応
許可が出たことで、多くの議員が本会議場に着席。しかし、戒厳司令官による「一切の政治活動を禁じる」布告を受け、ソウル警察庁は再び国会議事堂への出入りを全面的に禁止する指示を出した。この一連の対応は、警察内部の混乱と、戒厳令下における対応の難しさを浮き彫りにした。
憲法と戒厳令のはざまで
韓国憲法は、国会議員の免責特権と議政活動の自由を保障している。今回の国会議事堂封鎖は、憲法の精神と戒厳令の執行という、相反する要請のはざまで警察が揺れ動いた結果と言えるだろう。
著名な憲法学者、李教授(仮名)は、「今回の件は、戒厳令下における警察の権限と国会議員の権利のバランスについて、改めて議論を深める必要性を示している」と指摘する。
今後の課題
今回の国会議事堂の一時封鎖は、非常戒厳令下における法執行の難しさ、そして憲法の保障する権利と安全保障のバランスという重要な課題を突きつけた。今後の韓国社会において、これらの課題への適切な対応が求められるだろう。
まとめ
非常戒厳令発令直後の国会議事堂封鎖は、警察内部の葛藤と混乱を浮き彫りにした。憲法と戒厳令のはざまで揺れ動く警察の対応は、今後の韓国社会における重要な課題を提示していると言えるだろう。