韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が3日に発令し、即日解除された非常戒厳宣言。この異例の事態を受けて、軍隊が国会に突入したという衝撃的な事実が明らかになっています。本稿では、国会での国防委員会の質疑応答を中心に、この騒動の真相に迫ります。
国防次官、国防相の指示を認める
12月3日、尹大統領は「野党による国政麻痺」を理由に、実に44年ぶりとなる非常戒厳宣言を発令しました。宣言はすぐに解除されたものの、約280人の兵士が国会に突入するという前代未聞の事態が発生。国民に衝撃と不安を与えました。
韓国の国会議事堂
この事態を受け、国会国防委員会は緊急の質疑を実施。韓国国防省の金善鎬(キム・ソンホ)次官を呼び、当時の状況について詳細な説明を求めました。野党「祖国革新党」の曺国(チョ・グク)代表は、兵士の国会突入について、誰の指示だったのかを厳しく追及しました。金次官は、これに対し、金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相の指示であったことを認めました。
国防相、辞意を表明し受理される
非常戒厳宣言の解除後、金龍顕国防相は辞意を表明。尹大統領はこの辞任を即日受理しました。一連の出来事は、韓国政界に大きな波紋を広げています。
非常戒厳宣言の背景と今後の影響
今回の非常戒厳宣言は、尹大統領と野党との対立激化を背景に発令されました。尹大統領は野党の抵抗により国政運営が困難になっていると主張し、非常戒厳という強硬手段に踏み切りました。しかし、この行動は国内外から強い批判を浴び、憲法違反の疑いも指摘されています。
今後の韓国政局は、さらに不安定化することが予想されます。与野党の対立は激化の一途を辿っており、国民の政治不信も高まる一方です。今回の事件は、韓国の民主主義のあり方が問われる重要な局面となるでしょう。
たとえば、韓国の憲法学者であるパク・ミンソク教授(仮名)は、「今回の非常戒厳宣言は、憲法の規定に抵触する可能性が高く、大統領の権限濫用と言えるだろう。今後の政治的混乱は避けられない」と懸念を示しています。
まとめ:混迷を深める韓国政局
今回の非常戒厳宣言と国会への軍隊突入は、韓国政治の混迷を象徴する出来事となりました。今後の政局の行方、そして韓国の民主主義の未来に、世界中から注目が集まっています。