文部科学省と財務省の給与をめぐる対立が注目を集めています。文科省は教職調整額の大幅増額を要求する一方、財務省は働き方改革を条件に残業手当支給を提案。一見すると文科省の主張に理があるように見えますが、果たして本当にそうなのでしょうか。この記事では、両省の主張を深掘りし、教師の働き方改革の本質に迫ります。
教職調整額をめぐる攻防
文科省は、現状の教職調整額が教員の実際の残業時間に見合わないとして、大幅な増額を要求しています。確かに、現在の教員の多忙さは深刻であり、その改善は急務です。しかし、財務省が指摘するように、働き方改革なしに待遇改善を行うことは、根本的な解決にはなりません。
教職調整額に関する会議の様子
働き方改革の現状と課題
文科省の資料によると、教員の残業時間は増加傾向にあります。これは、働き方改革が進んでいないことを示唆しています。日本教育事務学会理事の野川孝三氏によれば、文科省が要求する13%の増額は、26時間分の残業に相当するとのこと。であれば、まず時間外在校時間を26時間以下に減らす努力が不可欠です。
教育現場の現状を考えると、時間外勤務を減らすことは容易ではありません。多くの教員は、授業準備、テスト作成、生徒指導、保護者対応など、多岐にわたる業務に追われています。さらに、部活動指導も大きな負担となっています。
部活動改革の必要性
中学校教諭の残業時間の内訳を見ると、部活動指導の時間が授業準備よりも長いという現状が明らかになっています。部活動は教育課程上の活動ではなく、必ずしも教師が担う必要のない業務です。しかし、多くの学校で全員加入制がとられており、顧問教員の負担は増大する一方です。
部活動改革は、教員の働き方改革の鍵となります。地域への移管や外部指導員の活用など、様々な方法が検討されています。部活動のあり方を見直し、教員の負担を軽減することが、働き方改革の第一歩と言えるでしょう。
部活動の様子
真の待遇改善に向けて
教員の待遇改善は、子どもたちの未来を支えるために不可欠です。しかし、待遇改善だけを先行させるのではなく、働き方改革とセットで進める必要があります。文科省、自治体、学校管理職は、部活動改革をはじめとする働き方改革に真剣に取り組み、教員が本来の業務に集中できる環境を整備する必要があります。
教員の多忙化は、教育の質の低下にも繋がります。真の待遇改善のためには、教員の働き方改革を推進し、持続可能な教育体制を構築していくことが重要です。