2024年7月16日、こども家庭庁の三原じゅん子大臣が自身のX(旧Twitter)アカウントを更新し、「こども家庭庁予算ファクト」と題した投稿が大きな波紋を呼んでいます。この投稿は、同庁の予算と「公金中抜き」に関する国民からの批判に対し、説明責任を果たそうとする試みでしたが、かえって誤解を招き、さらなる批判が殺到する事態となりました。
三原大臣の今回のX投稿は、国会やメディアで繰り返し議論されてきたこども家庭庁の巨額な予算と、その使途に対する国民の不信感、特に「中抜き」という言葉で表現される不透明な委託事業への疑念に対応するものでした。
こども家庭庁予算と「外部委託比率」を巡る発言の真意
三原大臣がXに投稿した文書には、15の省庁における「外部委託比率」が一覧で示されており、その中でこども家庭庁の割合が「0.06%」と最も低い値であることが強調されていました。令和7年度のこども家庭庁予算は約7.3兆円という巨額に上るため、その使途、特に外部委託費の透明性については国民から強い関心が寄せられています。政治部記者の分析によれば、大臣はこの低い比率を示すことで、外部委託による「中抜き」が疑われる現状に対し、反論を試みたものと見られます。
文書自体は客観的な数値を示したものであり、それ自体に問題はありませんでした。しかし、波紋を呼んだのは、三原大臣が文書に添えたコメントでした。《「公金中抜き」とのご批判が多いのですが実際には1番少ない庁》と記したこの一文が、国民の間で「中抜き」という行為そのものが存在することを、大臣自身が認めているかのような印象を与えてしまったのです。
「公金中抜き」発言が招いた誤解とネット上の反響
三原大臣のX投稿に対し、インターネット上では瞬く間に批判の声が殺到しました。特に多かったのは、「中抜きが少ないのではなく、あってはならないこと」「なぜ中抜きが『ある』ことを前提に話しているのか」といった、表現に対する強い疑問と怒りでした。
こども家庭庁の三原じゅん子大臣。X投稿で公金中抜き問題が浮上し、波紋を呼んでいる
ユーザーからは、《少ない?あってはならないの間違いでは?》《これ全部中抜きってことだよね。ありえないんだけど。国民バカにするのも大概しろ。ていうかこんなこと言っちゃうなんて馬鹿すぎてビックリするわ》《え?中抜してますっていってるの? この人大丈夫?》といった厳しい意見が寄せられました。
また、「0.06%という比率だけでなく、絶対額で示すべきだ」という声も多く上がりました。こども家庭庁の予算7.3兆円に対し、0.06%でも約43億8000万円が委託費として計上されることになります。この巨額な金額が「妥当な額」であるのかどうか、数値の提示方法に対する疑問も呈されました。
参院選への影響と政治的波紋
三原大臣が意図したのは、「こども家庭庁の外部委託比率が他の省庁と比較して最も低い」という事実を伝え、透明性をアピることだったと考えられます。しかし、「中抜き」という言葉を安易に使用したことで、本来否定すべき行為の存在を認めているかのような誤解を生じさせてしまいました。政治家としての発言には、言葉の選択一つ一つに細心の注意が求められます。
今回の「失言」は、今週末に迫った参議院選挙にも影響を及ぼす可能性があります。自民党・公明党の連立与党は厳しい選挙戦に直面していると言われており、三原大臣の不用意な発言が、さらなる逆風となって自民党の議席獲得に悪影響を与えるかもしれません。公金の使途に対する国民の監視の目は厳しく、政治家の発言はより一層の透明性と説明責任が求められています。
今回の件は、政府機関の予算執行における透明性の確保と、国民への説明責任の重要性を改めて浮き彫りにしました。特に公金を扱う機関においては、疑念を払拭するための丁寧なコミュニケーションと、国民が納得できる具体的な情報開示が不可欠です。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 三原じゅん子大臣のX投稿に関する報道
- J-CASTニュース: こども家庭庁予算と「中抜き」に関する議論
- 政府広報オンライン: こども家庭庁の予算概要について