遠野なぎこ宅の遺体、身元不明の謎続く　専門家が語る「公表されない理由」と「行旅死亡人」の可能性

女優・遠野なぎこの東京都内の自宅から身元不明の遺体が発見されたとの報道から約2週間が経過しました。この不可解な状況は、遠野氏本人の行方が依然として不明であること、そして発見された遺体の身元に関する情報が一切公表されていないことで、日本社会の関心を集めています。本記事では、この謎多き事案について、警察関係者や専門家の見解を交えながら、現在の状況と今後の可能性、そして情報公開の背景にある社会的な側面について深く掘り下げます。

発見経緯と警察の初期見解：事件性の低さと高官の関与

遠野氏の自宅で遺体を発見し、通報したのは、前月末に契約したヘルパーでした。当初から警察は遺体に事件性がないと見ていたと報じられています。しかし、この一件には異例の対応が見られました。警視庁の担当記者が明かすところによると、遺体が発見された警察署には、広報担当者を含むキャリア官僚が警察の対応状況を確認するために出向いたとされています。これは、本件が単なる不審死として処理される以上の、何らかの背景や社会的な影響を考慮した動きであることを示唆しています。

犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、DNA鑑定はとっくに終了しているはずだと指摘し、遺体の身元が判明しているにもかかわらず、何らかの事情で発表がされていないと推測しています。通常、遺体の身元が判明すれば、速やかに遺族に連絡し、引き渡しが行われますが、本件においてはそれがなされていません。

「行旅死亡人」の法的枠組みと豊島区の回答

日本では、遺体の身元が特定できない場合や、遺族との連絡が取れない、あるいは遺族が引き取りを拒否した場合、「行旅死亡人（こうりょしぼうにん）」として、遺体が発見された自治体が火葬などの措置を行うことが法律で定められています。この法的な枠組みは、身寄りのない方や身元が不明な方の尊厳を守るために存在します。

今回、遠野氏の自宅があった東京都豊島区に遺体のその後の状況について問い合わせたところ、「発見されたご遺体については、警察からの連絡はありません。かりに身元がわからない、または遺族が受け取らないご遺体の場合、法律に則った措置をすることになります」との回答がありました。これは、状況によっては遺体が「行旅死亡人」として火葬される可能性を示唆するものです。

遠野なぎこ氏の公式Instagramに投稿された肖像。都内自宅で遺体が発見され、本人の安否が不明となる中、広く報じられている。

情報非公開の背景：プライバシー保護と社会影響のバランス

遠野氏は、所属事務所を辞め、提携先との契約も更新していなかったため、仕事などの連絡先として個人のものと思われるアドレスや携帯電話番号をSNSに公開していました。そのため、遠野氏本人がSNSを更新しない限り、現在の状況について公式に発信されることは期待できない状況です。警察が遺体に関する発表を行わない限り、今回の遺体の身元や詳細が世間に知らされることなく終わる可能性が高いと見られています。

家出や行方不明事件に詳しい弁護士の大和田周資氏は、遺体の身元はすでに判明しているはずであり、少なくとも遺体の親族には警察から連絡が行っているはずだと述べています。不審死であっても、事件性がない場合は、捜査による真相究明の必要性が低いため、身元などが公表されないケースは多々あるとのことです。しかし、遠野氏という社会的影響力のある人物に関わる事案であるため、警察からの情報発信があってもおかしくないとの見方もあります。情報が非公開であるのは、親族の要望も含めたプライバシー保護の観点からの判断ではないか、と大和田弁護士は推測しています。

都内自宅で遺体発見の報道直前の遠野なぎこ氏。頰がこけ、健康状態が懸念されていた時期の様子。