韓国国会で7日に採決予定の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案をめぐり、与野党の激しい攻防が繰り広げられています。国民の強い批判を背景に、今後の韓国政界を大きく揺るがす可能性を秘めたこの政治ドラマ、その行方から目が離せません。
与党内の結束がカギを握る
弾劾可決の鍵を握るのは、与党「国民の力」の結束です。可決には3分の2以上の賛成が必要となるため、野党と無所属議員に加え、与党から8人以上の造反が出れば弾劾が成立してしまう状況です。
国民の力は党として反対の方針を固め、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)院内代表は「必ず否決させる」と強調しました。しかし、戒厳令発令をめぐる尹大統領への批判は党内にも根強く、4日に可決された戒厳令解除要求決議には与党から18人が賛成票を投じています。
韓国国会の様子
2016年の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾訴追の際に与党が分裂し、野党に転落した苦い経験から、今回は結束を重視しているようです。次期大統領選の有力候補である韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、世論調査でリードする最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に敗れる可能性を懸念し、弾劾阻止を主導しているとの見方もあります。
無記名投票という不安要素
しかし、一枚岩を保てる保証はありません。10月の特別検察官制度導入法案の採決では、与党から4票の造反が出ています。
世論調査では尹大統領の弾劾に7割以上が賛成しており、国民の力内部からも「党の反対方針が守られない可能性がある」との声が上がっています。無記名投票であることも、造反を助長する要因となりかねません。
弾劾の行方と韓国の未来
弾劾訴追案の行方は、今後の韓国政界を大きく左右するでしょう。可決されれば大統領選の前倒し実施の可能性も浮上し、政局はさらに混迷を深めることが予想されます。
ろうそくデモの様子
この政治的混乱は、韓国経済にも大きな影響を与える可能性があります。専門家の中には、「政治の不安定化は、海外からの投資を冷やしてしまうリスクがある」と指摘する声も出ています。(韓国経済研究所 キム・ヨンチョル氏談)
韓国国民は、この歴史的な岐路に立たされた自国の政治を、固唾をのんで見守っています。