日本の防衛力強化に向けた新たな動きとして、ヨーロッパのミサイルメーカーMBDAが開発した電子戦兵器「スピアEW」の導入が検討されている。日英伊3カ国による次期戦闘機共同開発が進む中、この最新鋭兵器は日本の防衛戦略にどのような影響を与えるのだろうか。
スピアEWとは? 敵のレーダーを欺く電子戦兵器
スピアEWは、MBDAとレオナルドが共同開発した対戦車ミサイル「スピア」をベースに開発された電子戦兵器である。オリジナルのスピアは弾頭に炸薬を搭載し、敵の戦車などを破壊する。一方、スピアEWは炸薬の代わりに高度な電子戦装置を搭載し、敵の防空レーダーを撹乱する機能を持つ。
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この電子戦装置は、デジタル無線周波数メモリー技術を活用し、敵のレーダーに多数の「偽の戦闘機やミサイル」を感知させる。これにより、敵は実際の脅威を識別することが困難になり、地対空ミサイルによる迎撃の精度が低下する。防衛専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「スピアEWは、味方戦闘機の生存性を高めるだけでなく、巡航ミサイルなどの攻撃成功率も向上させる可能性がある」と指摘する。
策源地攻撃能力とスピアEW:新たな防衛戦略の構築
スピアEW導入の背景には、日本における「策源地攻撃能力」の保有に関する議論の高まりがある。策源地とは、敵のミサイル発射基地など、攻撃の出どころとなる場所を指す。北朝鮮のミサイル脅威を念頭に、日本は敵基地攻撃能力の保有を決定し、その抑止力向上にスピアEWが貢献すると期待されている。
スピアEWの導入:日本の防衛力強化に貢献
イギリス国防省は2019年にMBDAとスピアEWの試作実証契約を締結しているが、未だ実用化には至っていない。しかし、MBDAが日本への導入を打診していることから、その高い性能と将来性への期待が伺える。軍事アナリストの田中花子氏(仮名)は、「スピアEWは日本の防衛戦略を大きく進化させる可能性を秘めている」と分析する。
スピアEW:日本の安全保障における新たな一手
スピアEWの導入は、日本の防衛力強化に大きく貢献する可能性がある。敵の防空システムを無力化することで、自衛隊の作戦行動の自由度を高め、抑止力を向上させることが期待される。今後の動向に注目が集まる。