ロシア大統領府は、ウクライナとの間で和平合意が最終段階に達するまでは、両国首脳による会談は開催不可能であるとの見解を表明しました。この発言は、ウクライナ側が8月末までの首脳会談開催を提案している中でなされたもので、現在の情勢では期限内の実現は極めて低いとされています。
ロシアが示す「最終段階」の条件と実現の困難さ
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は25日、プーチン大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との首脳会談について、「専門家レベルで策定された条件と合意を確定させるための最終段階」でなければ開催できないとの見解を強調しました。同報道官は、このような複雑なプロセスを30日以内に完了させるのは現実的に不可能であり、8月末までの首脳会談開催は「可能性が低い」と指摘しました。ロシア側は、首脳会談はあくまで両国の専門家が詳細な和平合意案を練り上げた後の「印鑑を押す」最終的な段階に位置づけられるべきだとの立場を崩していません。
ロシアのプーチン大統領が公式行事で演説する様子。露ウクライナ首脳会談の条件に関する発言に注目が集まる。
進展しない和平協議とウクライナの焦り
ウクライナとロシアは、今年5月中旬以降、トルコでこれまでに計3回の和平協議を実施してきました。しかし、ウクライナ側は、これらの交渉が「遅々として進展していない」と強い不満を表明しており、膠着状態を打開するためには首脳レベルの直接対話が不可欠であると主張しています。ゼレンスキー大統領自身も、記者団に対し「私たちとの交渉で、ロシアはその件について議論を始めた。これは何らかの会談形式への進展が既にあったことになる」と語り、会談に向けた進展に期待感を示していました。
ウクライナの首脳会談提案とトランプ氏の制裁警告
今月23日には、わずか40分で終了した和平協議の後、ウクライナ代表団がロシアに対して首脳会談を正式に提案したことが明らかになりました。この提案は、ドナルド・トランプ米大統領が前週に設定した「50日以内」という合意期限と奇しくも合致するものでした。トランプ氏は、もし9月初旬までに和平協議が合意に達しない場合、ロシアおよびロシアからの輸出品の購入国に対して新たな制裁を科すと警告しており、国際的な圧力がウクライナ側の早期会談提案の背景にあるとも見られています。
首脳会談実現への道のり
今回のロシア側の発表により、プーチン・ゼレンスキー両大統領による首脳会談の実現は、依然として多くの課題を抱えていることが浮き彫りになりました。ロシアは具体的な和平合意の進展を、ウクライナは首脳会談自体を停滞打破の突破口と捉えており、両者のアプローチには依然として隔たりが存在します。国際社会からの圧力が高まる中、今後の和平交渉の行方が注目されます。
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