韓国で戒厳令の宣布により混乱が生じる中、尹錫悦大統領に代わり、韓悳洙首相が政権運営の主導権を握るという見方が強まっています。行政手腕に定評があり、左右両政権での経験を持つ韓首相。果たして、難局を乗り越える救世主となるのでしょうか?
行政手腕に定評のある韓悳洙首相
韓悳洙首相は12月7日、保守系与党「国民の力」の韓東勲代表と会談。国民生活と経済政策に注力し、党と緊密に連携していくことを確認しました。戒厳令宣布に反対した韓首相は、権威が低下した尹大統領に代わり政権を担う適任者として、与党内で期待が高まっていると見られています。
ソウルで尹大統領に抗議する人々
韓国の首相は、憲法86条に基づき、大統領を補佐し、行政に関して大統領の命令を受け、各部を統括する役割を担います。大統領が職務を遂行できない場合に権限を代行する規定も存在します。しかし、憲法改正の発議や多くの役職の任命権を持つ大統領に比べると、首相の役割は地味な印象を与えます。
左右両政権で活躍した経歴
しかし、韓首相は政党色が薄く、「政権が代わるたびに最高権力者から重用される行政の達人」(韓国日報)と評されています。全羅北道出身の元経済官僚であり、野党からも一定の評価を得ています。
韓悳洙首相の主な経歴
ハーバード大学で経済学博士号を取得した米国通の韓首相は、保守系の李明博政権では駐米大使、左派の盧武鉉政権では首相を務めました。政治評論家の金氏は「米国との関係構築、経済政策への精通など、現在の韓国に必要なスキルを兼ね備えている」と指摘しています。
強気の姿勢で国会に臨む
堅実な仕事ぶりで知られる韓首相ですが、国会では野党議員の批判にも物おじしない姿勢を見せています。11月7日の2025年度予算案審議では、政府事業への巨額予算を批判する野党議員に対し、「フェイクニュースだ」と反論。財政悪化を招いた文在寅前政権の経済政策を「無責任」と批判するなど、強気の姿勢で臨んでいます。
韓国政治に詳しい専門家の朴氏は、「韓首相のリーダーシップは、混乱する政局を安定させる可能性を秘めている。今後の動向に注目が集まる」と述べています。