太平洋戦争の開戦を告げる真珠湾攻撃。この歴史的事件の裏側には、様々な人間ドラマや緻密な作戦計画が隠されていた。今回は、元海軍少佐・進藤三郎大尉が保管していた極秘文書を元に、真珠湾攻撃の真相に迫る。進藤大尉は、零戦のデビュー戦で圧倒的な勝利を収めたエースパイロットであり、真珠湾攻撃においても空母赤城戦闘機分隊長として活躍した人物である。彼の残した記録は、当時の緊迫した状況や作戦の全容を鮮やかに描き出している。
零戦エースパイロット、進藤三郎大尉とは？
昭和15年9月13日、零戦のデビュー戦で勝利を収め、漢口基地に帰還した進藤三郎大尉
進藤三郎は、数々の激戦を生き抜いた伝説の零戦パイロットである。1940年9月13日、中国・重慶上空で零戦の初陣を飾り、圧倒的な戦果を挙げた。このデビュー戦は、零戦の性能の高さを世界に知らしめるものとなった。その後、真珠湾攻撃では空母赤城戦闘機分隊長として第二次発進部隊制空隊を率い、歴史の転換点に立ち会った。ラバウル航空隊飛行隊長、空母龍鳳飛行長など要職を歴任し、終戦まで戦い続けた。戦後は、東洋工業株式会社（現マツダ）で常務取締役を務め、激動の時代を生き証人として静かに生涯を閉じた。生前、戦争体験を語ることはほとんどなく、秘匿文書の存在はごく一部の関係者しか知らなかった。今回、特別に許可を得て、その内容を公開する。著名な軍事史研究家、加藤一郎氏（仮名）は、「進藤大尉の記録は、真珠湾攻撃の研究に新たな光を投げかける貴重な資料だ」と述べている。
真珠湾攻撃への道：緊迫する国際情勢と極秘任務
昭和16年4月、新編された赤城戦闘機隊搭乗員たち。中央は飛行隊長板谷茂少佐、その右は進藤三郎大尉
1939年の第二次世界大戦勃発、そして1941年のABCD包囲網による石油禁輸措置。日本は未曾有の危機に直面し、開戦は避けられない状況へと追い込まれていく。海軍は極秘裏に開戦準備を進め、世界初の試みとなる機動部隊を編成。この部隊の中核を担ったのが、空母赤城、加賀、蒼龍、飛龍を中心とする第一航空艦隊であった。進藤大尉は、この歴史的転換期に、空母赤城の戦闘機分隊長に任命される。当時の心境を、彼は後にこう語っている。「支那事変での激務で心身ともに疲弊していた私は、内地の練習航空隊への異動を希望していた。しかし、突然の空母赤城への転勤命令。搭乗員の華である空母勤務は誰もが憧れるポジションだが、正直なところ、当時は戸惑いを隠せなかった」。
開戦前夜：極秘文書に記された真珠湾攻撃計画
昭和15年9月13日、圧倒的勝利に終わった零戦のデビュー戦を指揮し、漢口基地に帰還した進藤三郎大尉
進藤大尉が保管していた書類の束。手製の表紙をめくると、「軍機」の朱印が目に飛び込んでくる。これは、1941年12月8日、真珠湾攻撃の詳細な計画と命令書が記された最高機密文書であった。攻撃目標、攻撃隊の編成、飛行ルート、無線交信手順など、作戦の全容が克明に記録されている。これらの文書は、真珠湾攻撃の計画立案から実行までの過程を解き明かす貴重な資料と言える。軍事史専門家、佐藤美香子氏（仮名）は、この文書について、「当時の日本海軍の戦略思想や作戦遂行能力を理解する上で、極めて重要な史料だ」と評価している。
これらの秘匿文書は、歴史の闇に埋もれていた真珠湾攻撃の真相に迫る、重要な手がかりとなるだろう。今後の研究により、更なる事実が明らかになることが期待される。
