「ホワイト企業」を辞める若者たち:ひろゆき氏が語る「健全な変化」と退職代行

近年、残業が少なく人間関係のストレスも限定的な、いわゆる「ホワイト企業」に勤務しながらも、「仕事にやりがいを感じない」「自己成長が見込めない」といった理由で自ら退職を選ぶ日本の若者が増加傾向にあります。さらに、退職の意思を直接伝えられない場合に「退職代行サービス」を利用するケースも少なくありません。こうした現象に対し、「甘えや逃げではないか」という否定的な見方がある一方で、匿名掲示板開設者として知られるひろゆき氏は「むしろ健全な兆候だ」と異なる視点を提示しています。本稿では、ひろゆき氏の解説を通じて、現代の若者の労働観の変化と、働くことの本質について考察します。

論客ひろゆき氏のポートレート、現代の若者の労働観とホワイト企業からの退職増加について語る論客ひろゆき氏のポートレート、現代の若者の労働観とホワイト企業からの退職増加について語る

ホワイト企業からの退職、ひろゆき氏の見解は?

ひろゆき氏は、一見恵まれた「ホワイト企業」から若者が退職することを「むしろ良い傾向」だと捉えます。失敗を恐れず、時には厳しい環境で揉まれることも成長には必要であり、自身でそれを求める若者の存在は、画一的でない健全な変化の兆しと言います。教育においても、常に守られた環境だけでは人が必ずしも優秀になるわけではないのと同様です。企業側にも、多様な働き方や職場環境がどのような個性や目標を持つ人材に適しているか、より柔軟に見極め、受け入れる姿勢が求められると指摘します。

退職代行サービスの増加に見る若者の「真っ当さ」

近年利用が増える「退職代行サービス」について、ひろゆき氏はこれを若者の「真っ当さ」を示すものだと評価します。彼が若者だった時代には、会社に一切連絡せず辞める、いわゆる「ブッチ」が当たり前で、辞める理由すら告げずに姿を消すケースも多かったと言います。給料だけはしっかり請求しつつも、無断で辞めるという形です。それに対し、お金を払ってでも代行サービスを通じ、会社に対して正式に退職の意思表示をしようとする現代の若者は、社会に対する誠実さを持っている、と見なすことができるという見解です。費用をかけてでも、無責任な「ブッチ」を避けようとする姿勢を評価しています。

「逃げたらどこでも通用しない」は昭和の価値観か?

「一度仕事を投げ出すと、どこに行っても通用しなくなる」という年配層からの批判に対し、ひろゆき氏は「それは完全に昭和の時代の価値観」だと断言します。そもそも、初めて入った会社が自分に完璧にフィットするなど稀であり、実際に働いてみて「思っていたのと違う」「どうしても合わない」と感じるのは当然のこと。そこで無理に我慢し続けることは、必ずしも最善の選択肢ではないと考えます。むしろ、多様な職場を経験しながら、自分にとって本当に合った環境や働き方を探求する時間は、長いキャリアを築く上で不可欠であり、決して「逃げ」ではなく健全な試行錯誤であると論じます。

ひろゆき氏の視点は、「やりがい神話」に囚われず「仕事はお金を稼ぐ手段」と割り切る合理性や、合わないと感じた環境から早めに離脱し、次へと進む行動を肯定します。退職代行サービスを利用する若者の姿に「真っ当さ」を見出す点も特徴的です。変化の激しい現代において、個人が自分らしい働き方や生き方を模索する姿勢は、ある種の健全な現実主義と言えるかもしれません。「働くこと」との向き合い方を考える上で、示唆に富む視点を提供しています。

【参考資料】
[記事] ダイヤモンド・オンライン / Yahoo!ニュース: 残業なし、怒られない、快適な職場。ひろゆきが「ホワイト企業を辞める若者はむしろ健全」と語る理由
[URL] https://news.yahoo.co.jp/articles/50108a0383cc079dd10ffb17b280467304b3b3c2