アフロヘア絵文字で多様性の実現へ!デジタルの世界に新たな風

黒人の髪型を表現した絵文字が、世界で初めて制作されるかもしれない。ロンドンの若者団体「ライズ.365」と米PR会社グッド・リレーションズが、アフロヘア、編み込み、コーンロウ、ロックスの4種類の絵文字をデザインし、2025年4月に絵文字の国際規格管理団体であるユニコードコンソーシアムに提出する予定だ。

背景にある「欧州中心の美的基準」への挑戦

現状、4000近い絵文字が存在するものの、黒人特有の髪型を表現したものは皆無。これは「ストレートヘアこそ美しい」という欧州中心の美的基準が根底にあると指摘されている。2023年の調査では、黒人女性の66%が就職面接のために髪型を変えているという現実も。ライズ.365のメンバーへのアンケートでも、61%が髪型を理由に差別やいじめに遭った経験があると回答している。この現状を打破し、デジタルの世界をよりインクルーシブ(包摂的)なものにするために、今回のプロジェクトは立ち上がった。

アフロヘアの女性アフロヘアの女性

若者たちの情熱と専門家の技術が融合

このプロジェクトは、若者たちが髪型のスケッチを描き、デザイナーがそれを元に絵文字をデザインするという形で進められた。17歳のジェイジク・ダクさんは、「この絵文字は『ストレートヘアこそ美しい』という社会の基準を打ち破るだろう。みんなが自分の髪に誇りを持って楽しんでほしい」と語る。

絵文字のデザイン絵文字のデザイン

絵文字承認への道のり

ユニコードコンソーシアムは、絵文字の承認審査において、関連用語の検索頻度を考慮に入れる。ライズ.365は、「アフロヘア」のGoogle検索を増やすことで、審査通過の可能性が高まると考えている。

絵文字がもたらす「力」と「承認」

プロジェクトの主任クリエイターであるオリビア・ムシゴさん(28)は、絵文字によって人々が「力」と「承認」を感じられるようにと願っている。ムシゴさん自身は髪型で差別を受けたことはないものの、弟は経験があるという。「弟が自分に似た絵文字を持つことで、自信を高め、自分の髪が美しいと感じてほしい」と語る。

オリビア・ムシゴさんオリビア・ムシゴさん

多様性を反映するテクノロジー業界への期待

絵文字デザイナーのバニタ・ブラウンさんは、これまで黒人の髪型を表す絵文字がなかった理由の一つに、欧州中心の美的基準があると指摘。また、ストック画像の多様性の欠如も問題視されている。ムシゴさんは、テクノロジー企業における黒人の少なさも課題だとし、「テクノロジー業界の多様性と包摂性が高まれば、私たちが住む世界の多様性を反映した絵文字が増えるだろう」と期待を込める。

専門家の意見

ヘアスタイリストの田中 彩さん(仮名)は、「髪型は個性を表現する大切な要素。多様な髪型を認め合う社会の実現は、一人ひとりの自己肯定感の向上につながる」と語る。

まとめ:新たな一歩を踏み出すデジタル社会へ

アフロヘア絵文字の誕生は、単なる絵文字の追加にとどまらず、多様性を尊重する社会への大きな一歩となるだろう。デジタルの世界が、より多くの個性を認め、誰もが自分らしくいられる場所になることを期待したい。