韓国政界を揺るがした尹錫悦大統領の弾劾訴追案は、12月7日の国会本会議で否決されました。与党「国民の力」議員の集団退場により、採決に必要な定足数を満たせず、弾劾案は廃棄。同時に審議された金建希夫人疑惑捜査のための特別検察官制度導入案も否決されました。まるでジェットコースターのような展開に、韓国国民の関心はますます高まっています。今後の政局はどうなるのか、詳しく見ていきましょう。
弾劾案否決までの経緯
弾劾案提出を受け、「国民の力」は当初、反対の立場を表明していました。しかし、韓東勳代表が突如賛成に転じたことで、情勢は一変。韓代表は、尹大統領が戒厳令下で主要政治家らを反国家勢力として逮捕するよう指示したとの情報を掴んだと主張し、大統領の職務執行停止の必要性を訴えました。
韓国国会の様子
この情報は、国家情報院の洪チャンウォン第1次長による証言に基づいていました。洪次長は、尹大統領から野党代表である李在明氏や韓東勳代表自身を含む複数の政治家の逮捕を指示する電話を受けた、と国会情報委員会で証言。戒厳令発令という異常事態の中で、大統領による政治家逮捕指示という衝撃的な内容に、韓国社会は騒然となりました。
しかし、この証言は後に趙太庸国家情報院長によって否定されます。趙院長は、大統領からそのような指示を受けたことはないと明言し、洪次長からの報告にもそのような内容は含まれていなかったと反論。情報機関トップ同士の食い違う証言は、事態の真相をさらに混迷させる結果となりました。
与党内の亀裂と今後の展望
韓東勳代表の突然の造反劇、そして情報機関トップの矛盾する証言。これらの出来事は、与党「国民の力」内部の深刻な亀裂を露呈させました。党内では韓代表に対する批判の声が高まり、今後の党内抗争激化は避けられない情勢です。
民主党は11日に再び弾劾案を提出する構えを見せており、韓国政界の混乱は今後も続く見込みです。 韓国政治の専門家であるパク・ミンチョル氏(仮名)は、「今回の弾劾案否決は、一時的な停戦に過ぎない。与野党の対立はさらに激化し、政局の不安定化は避けられないだろう」と分析しています。
李在明「共に民主党」代表
今回の弾劾騒動は、韓国政治の不安定さを改めて浮き彫りにしました。今後の政局の行方、そして韓国社会への影響に、引き続き注目が集まります。