人生100年時代と言われる現代、健康で長生きしたいと願うのは当然のこと。では、具体的にどのような生活習慣を心掛けるべきでしょうか?この記事では、がん細胞の専門家である黒木登志夫氏の著書『死ぬということ 医学的に、実務的に、文学的に』(中央公論新社)を参考に、健康長寿の秘訣を探っていきます。特に、喫煙、飲酒、サプリメントへの依存といった、現代人が陥りがちな落とし穴について深く掘り下げ、健康リスクと適切な付き合い方について解説します。
喫煙は百害あって一利なし:命を縮めるリスク
健康的な生活習慣を阻む要因として、喫煙は最も深刻な問題です。2011年に医学誌『ランセット』に掲載された記事でも、日本人の生活習慣ワースト5(喫煙、高血圧、運動不足、高血糖、食塩過剰摂取)の中で、喫煙がダントツ1位として挙げられています。
オックスフォード大学の疫学者ドール氏の研究は、喫煙が10年も寿命を縮めることを示唆しており、その危険性は明白です。国立がん研究センターの調査でも、喫煙は肺がんだけでなく、様々ながんや循環器疾患の死亡リスクを大幅に増加させることが確認されています。
喫煙と死亡リスクの関係を示すグラフ
喫煙による循環器疾患のリスク増加は、血管壁の損傷や血栓形成などが原因です。また、肺への影響も深刻で、肺胞構造の破壊による肺気腫や慢性気管支炎、そしてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)へと進行する可能性があります。COPDになると咳や痰、息切れなどの症状が現れ、生活の質を著しく低下させます。COPD患者の9割は喫煙者であり、喫煙者は80歳まで生きることが難しいと覚悟すべきかもしれません。
タバコは決して格好良いものではありません。健康を第一に考え、禁煙に取り組むことが大切です。
お酒との上手な付き合い方:適量を守って健康リスクを軽減
タバコと同様に、アルコールも健康への影響が懸念されるものです。しかし、適量であれば健康に悪影響を与えないというデータも多く存在し、厚生労働省もこれを認めています。
グラスに入ったお酒
重要なのは、”適量”を守ることです。過度な飲酒は、健康リスクを高めるだけでなく、社会問題にも繋がることがあります。例えば、ロシアで愛飲されている強いお酒の過剰摂取は、殺人や自殺の増加と関連付けられています。
お酒を楽しむ際は、自身の健康状態を考慮し、適切な量を心掛けることが重要です。
サプリメント依存の危険性:バランスの良い食事を優先
現代社会では、サプリメントに頼って健康を維持しようとする風潮が見られます。しかし、サプリメントはあくまでも補助的なものであり、バランスの良い食事の代わりになるものではありません。
栄養バランスの取れた食事を摂ることが、健康の基本です。様々な食品から必要な栄養素を摂取することで、身体の機能を正常に保ち、病気のリスクを低減することができます。
健康長寿への道:日々の生活習慣から
健康で長生きするためには、禁煙、節酒、そしてサプリメントへの依存からの脱却が重要です。バランスの良い食事、適度な運動、そして質の高い睡眠を心掛け、健康的な生活習慣を築きましょう。
この記事が、皆様の健康を考えるきっかけになれば幸いです。ぜひ、ご自身の生活習慣を見直し、健康長寿を目指してください。