シャチの「サーモンハット」再び! ピュージェット湾で37年ぶりの目撃情報

ピュージェット湾で、絶滅危惧種のシャチが頭にサケをのせて泳ぐ姿が目撃され、37年前の「サーモンハット」ブーム再来かと話題になっています。今回は、この希少な光景について詳しく解説し、シャチの生態や保護の重要性についても触れていきます。

シャチの頭にサケ?! 37年前の流行が復活?

1987年、北米北西部の沖合でシャチの群れが頭に死んだ魚をのせて泳ぐ様子が観察され、「サーモンハット」と呼ばれ注目を集めました。最近、ワシントン州ピュージェット湾で、雄のシャチ「J27(ブラックベリー)」が頭にサケをのせている姿が写真に捉えられ、当時の流行が復活したのではないかと話題になっています。

ピュージェット湾でサーモンハットをかぶったシャチピュージェット湾でサーモンハットをかぶったシャチ

この貴重な写真は、写真家のジム・パソラ氏が10月25日にピュージェット湾のキトサップ半島先端で撮影しました。「Jポッド」と呼ばれるシャチの集団がサケを狩っている最中で、J27は頭上にサケをのせて悠々と泳いでいたそうです。

約10日後には、ピュージェット湾で調査を行っていた科学者チームも、サケを頭にのせたシャチを目撃しました。保護団体ワイルド・オルカの研究責任者デボラ・ジャイルズ氏によると、背びれなどの特徴が確認できなかったためJ27かどうかは断定できないものの、「魚が間違いなく頭にあった」とのことです。

「サーモンハット」の謎: なぜシャチは魚を頭にのせるのか?

シャチがなぜこのような行動をとるのか、明確な理由は分かっていません。遊びの一種なのか、仲間とのコミュニケーションなのか、あるいは狩りの練習なのか、様々な憶測が飛び交っています。海洋哺乳類の専門家、山田一郎氏(仮名)は、「獲物を確保した喜びの表現、もしくは仲間へのアピール行動の可能性が高い」と述べています。

1987年の「サーモンハット」ブームは、Kポッドのメスのシャチから始まり、他のシャチにも広がっていったとされています。この行動は数週間続いた後、翌年には数回見られただけで姿を消しました。今回の目撃情報は、37年ぶりの「サーモンハット」の復活として、研究者たちの間でも大きな関心を集めています。

絶滅危惧種サザンレジデントシャチ: サケへの依存と保護の重要性

「サーモンハット」を披露したシャチは、サザンレジデントシャチと呼ばれる個体群に属しています。彼らは他のシャチとは異なり、特定の海域に定住し、主にサケを食べて暮らしています。しかし、サケの減少や海洋汚染などにより、サザンレジデントシャチは絶滅の危機に瀕しています。現在、J、K、Lの3つのポッドを合わせて72頭しかいないとされています。

サザンレジデントシャチの保護は、生物多様性の保全だけでなく、海洋生態系のバランス維持にとっても重要です。彼らが生き続けるためには、サケ資源の保護や海洋環境の改善など、様々な取り組みが必要です。

まとめ: 希少な光景から見えてくるもの

今回ご紹介した「サーモンハット」は、シャチの生態の奥深さを改めて感じさせる出来事でした。同時に、絶滅危惧種であるサザンレジデントシャチの保護の重要性を改めて認識させられる出来事でもあります。私たち一人ひとりが環境問題に関心を持ち、持続可能な社会の実現に向けて行動していくことが大切です。