税収過去最高更新も「取りすぎ」ではない? 石破首相、歳出とのバランス重視を強調

景気が回復し、税収が5年連続で過去最高を更新する見通しとなった中、石破茂首相は9日の衆議院本会議で、税収増加を「取りすぎ」と評価することの適切性について疑問を呈しました。国民民主党からの指摘に対し、歳出とのバランスを踏まえた慎重な検討が必要との考えを示しました。

国民民主党、税収増を「取りすぎ」と批判、試算の不備も指摘

国民民主党の田中健衆議院議員は、好調な税収を背景に「税金を予定より取り過ぎている状況」と指摘。GDP成長に対する税収の伸びの感応度が、デフレからインフレへの経済状況の変化によって高まっていることが要因だと分析しました。さらに、「年収103万円の壁」を178万円まで引き上げた場合の税収減試算(7兆~8兆円)について「極めて粗い試算」と批判し、政府の対応を「不誠実」と糾弾。緻密な試算と、壁の引き上げ時期の明確化を求めました。

石破首相、国会で答弁石破首相、国会で答弁

石破首相、多角的な視点からの検討を主張

これに対し、石破首相は「見積もりからの上振れのみをもって『取りすぎ』と評価するのは適切ではない」と反論。歳出とのバランスや今後の経済状況など、多角的な視点からの検討が必要だと強調しました。 加藤勝信財務大臣も、制度設計の不備を理由に試算が粗いことを認めつつも、「議論の参考として一定の意義はある」と弁明しました。

「103万円の壁」引き上げ時期は明言避ける

国民民主党は「103万円の壁」の引き上げを来年から実施するよう要求しましたが、石破首相は「実務的な観点も含めて考えねばならない様々な論点がある」と述べるにとどまり、具体的な時期については明言を避けました。

税収増をどう活用するかが焦点に

今回の議論は、好調な税収を国民にどのように還元するのか、あるいは将来への投資にどのように活用するのかという重要な課題を浮き彫りにしました。 「取りすぎ」かどうかの判断は、歳出の有効性や将来の経済見通しなど、様々な要素を考慮した上で慎重に行われるべきでしょう。 今後の政府の動向に注目が集まります。 例えば、食料安全保障の専門家である山田一郎氏(仮名)は、「安定的な税収は、食料自給率向上のための農業投資にも重要だ」と指摘しています。 持続可能な社会を実現するためには、税収の適切な配分が不可欠と言えるでしょう。