東急不動産、施工不良マンション買取りへ 世田谷、設計図と向きずれで高さ制限違反

築年数25年を超える世田谷区の分譲マンションで、深刻な施工不良が発覚し、住民が困惑しています。東急不動産が販売、東急建設が設計・施工した「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」で、図面と実際の建物の向きがずれていることが判明。建築基準法の高さ制限に違反していることが明らかになり、東急不動産は住民にマンションの買い取りを提案しています。

施工不良マンション問題、住民説明会で明らかに

2024年12月11日、マンション管理組合の住民と弁護士らが都内で記者会見を開き、事態を公表しました。事の発端は2018年、1階でカビが発生したことから始まります。管理組合がコンサルタント会社に調査を依頼した結果、東急不動産側も調査に乗り出し、はりや床に多数の穴、耐震壁のひび割れなど、複数の施工不良が確認されました。

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当初、東急不動産は2021年に補修工事では安全性の確保が困難と判断し、建て替えを提案、住民は仮住まいへと移りました。しかし、その後の測量で、マンションの向きが建築前の図面より西側にずれていることが発覚。建築基準法の高さ制限に違反していることが判明したのです。世田谷区は2024年11月、管理組合と東急不動産に行政指導を行いました。

東急不動産、建て替えから買取りへ方針転換 住民の不安募る

事態を受け、東急不動産は建て替えから一転、マンション買取りを提案。住民は12月20日までに買い取りに応じるかどうかの判断を迫られています。承諾しなければ仮住まいからの退去を求められるという厳しい条件も提示されました。しかし、建て替えを希望する住民もおり、今後の対応に不安の声が上がっています。管理組合の役員は「東急不動産には誠意ある対応をしてほしい」と訴えています。

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東急建設と東急不動産の見解は?

東急建設は取材に対し、構造上の欠陥は認めたものの、補修は行ってきたと主張。「建物が倒壊するような安全性の問題はない」との見解を示しました。また、品質管理の重要性を強調し、再発防止に努めると述べています。

一方、東急不動産は建物の向きが図面と異なる点について、偽装ではなく測量ミスと説明。早期に違法建築物を解決したい意向を示し、建て替えから買取りへの変更は同じものが建てられないためだと説明しました。所有者の理解を求めていますが、住民との溝は深まるばかりです。

マンション施工不良問題、今後の展開は?

今回のマンション施工不良問題は、住民の生活に大きな影響を与えています。買い取りに応じるか、それとも建て替えを求めるか、住民の難しい選択が迫られています。今後の展開が注目されます。著名な建築コンサルタントである田中一郎氏(仮名)は、「住民の安全と生活を守るためには、透明性のある情報公開と誠実な対応が不可欠」と指摘しています。