モバイルバッテリー・携帯・加熱式たばこ「指定再資源化製品」追加へ – リチウム電池火災対策、適切な回収を

政府は、内蔵する小型リチウム蓄電池による火災が相次いでいる現状を受け、モバイルバッテリー携帯電話加熱式たばこ機器の3品目を、事業者に自主回収とリサイクルを義務付ける「指定再資源化製品」追加する方針を固めました。この方針に伴い、利用者はこれら3品目を普通ゴミとして廃棄できなくなり、店舗や自治体での適切な回収に協力する必要があります。この措置は、リチウム蓄電池が原因となるゴミ収集や処理施設での発火事故増加に対する対策強化の一環です。

◆指定追加の背景と今後のスケジュール

経済産業省と環境省は、メーカーや輸入販売事業者を含む関連業界への聞き取り調査を進めており、その結果を踏まえ、今年8月をめどに正式な追加指定を決定する予定です。この指定再資源化製品への追加は、来年4月に施行される改正資源有効利用促進法に合わせて政令で行われます。

◆事業者と利用者に求められること

今回の追加指定により、これらの製品を扱うメーカーや輸入販売事業者には、自主回収とリサイクルの実施が義務付けられます。これを怠った場合、罰金が科される可能性があります。

一方、利用者は、モバイルバッテリー携帯電話加熱式たばこ機器を廃棄する際に、家電量販店や自治体に設置された回収ボックスなどを利用し、適切な方法で廃棄することが求められます。利用者に直接的な罰則規定はありませんが、自治体からの指導の対象となったり、廃棄物処理法違反に問われたりする可能性もあるため、正しい分別と回収への協力が重要となります。

首相官邸の外観 - 政府が指定再資源化製品の追加を決定首相官邸の外観 – 政府が指定再資源化製品の追加を決定

◆なぜこれらが追加されるのか? – データが示す現状

現在、指定再資源化製品の対象はパソコンと密閉型蓄電池の2品目です。今回追加される3品目は、いずれも小型リチウム蓄電池を内蔵しており、製品を分解して電池を取り出すことが難しいため、これまでは回収義務の対象外とされていました。

しかし、これらの品目が不適切な方法で廃棄され、ゴミ分別の過程で火災を引き起こすケースが急増しています。総務省が昨年43市を対象に行った調査では、不燃ゴミなどに混入したリチウム蓄電池関連品目のうち、加熱式たばこ(15・9%)、携帯電話(12・4%)、モバイルバッテリー等(11・8%)が蓄電池単体に次いで多い割合を占めていることが明らかになりました。

環境省の発表によると、2023年度には、ゴミ収集車やゴミ処理施設において、小型リチウム蓄電池が原因とみられる発煙・発火事故が2万1751件も発生しています。こうした火災リスクの高さが、今回の指定再資源化製品への追加、すなわち適切な回収ルートの確保を喫緊の課題とした背景にあります。

◆「指定再資源化製品」とは? – 現在の対象と回収の仕組み

指定再資源化製品とは、資源有効利用促進法に基づき政令で定められた品目のことです。これらの品目については、メーカーや輸入販売事業者が、一般社団法人などを通じて自主回収とリサイクルを行うことが義務付けられています。

現在対象となっているパソコンについては、一般社団法人パソコン3R推進協会が、また密閉型蓄電池(電動自転車やビデオカメラ等に使用される)については一般社団法人JBRCが、それぞれ郵送や協力店、市区町村の拠点などで回収を行っています。今回追加される3品目についても、同様の回収システムが構築される見込みです。

今回のモバイルバッテリー携帯電話加熱式たばこ機器指定再資源化製品への追加は、小型リチウム蓄電池による火災事故を防ぎ、資源を有効活用するための重要な措置です。事業者の回収・リサイクル義務に加え、私たち利用者が適切な方法で廃棄することの重要性が一層高まります。今後、お住まいの自治体や家電量販店などの回収情報を確認し、協力することが求められます。

出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/cd2e73e80f64d26d1ddbbcfa59e1ad1815174a97